2022年6月29日水曜日

第3047話 こよなく晴れた青空を

JR田町駅から渋谷駅行きのバスに乗った。
降りたのは恵比寿3丁目。
昨年、この路線を走ったとき、
窓外に見かけた洋食店が気になった。 

おじゃますると1階は満卓。
2階に促され、靴を脱いで上がる。
ふすまを外し、三間ぶち抜きの広間に先客は一人。
距離をキープしてあぐらをかいた。

定食が①~⑦までズラリ並ぶ、
ランチメニューにただ一つ、
⑦番だけが魚フライ半分・カニクリコロ半分。
このセットを相盛り好きは即注した。
すると、お運びのオネバさん。
カニコロ売切れのため、⑦番が作れないんだと―。

仕方なく素っ気ないネーミングのカツ定食にスイッチ。
主役のカツは貧相にして味もイマイチ。
「サンデーモーニング」の張さんが健在なら
「カーツだ!」ー間違いないネ。
でも700円じゃ、強いことは言えない。

畳上の昼食はマネの草上の昼食みたいな刺激に欠けたが
ハム入りマカサラ、具だくさん味噌汁のおかげもあって
無事に食了、ビールも飲まずにネ。

オモテに出たら強烈な陽射し。
ここで流れ来たのが「長崎の鐘」。

♪   こよなく晴れた 青空を
  悲しと思う せつなさよ
  うねりの波の 人の世に
  はかなく生きる 野の花よ
  なぐさめ はげまし 長崎の
  ああ長崎の 鐘は鳴る   ♪
  (作詞:サトウハチロー)

名曲「長崎の鐘」はNHK朝の連続TV小説、
「エール」でクローズアップされ、
若い世代にもご存じの方が少なくあるまい。 
昭和24年にリリースされたオリジナルは
藤原一郎の歌唱だが
近年は安田祥子・由紀さおり姉妹も世に広い。

だけど、この日このとき、
J.C.の脳裏をかすめたのは
古関裕而のメロディーより
サトウハチローの歌詞だった。

何となれば、ほかでもない、
洋食店の名前が「ハチロー」だったんですから。

「ハチロー」
 東京都渋谷区恵比寿2-39-4
 03-3444-8600