2022年8月30日火曜日

第3091話 路地のほとりのティールーム

♪   あなたを待てば 雨が降る
  濡れて来ぬかと 気にかかる
  ああ ビルのほとりのティールーム ♪
     (作詞:佐伯孝夫)

フランク永井の「有楽町で逢いましょう」は
1957年7月のリリース。
百貨店そごうのキャンペーンソングが
とてつもない大ヒットとなった。

それはそれとして
その日は朝から雨がしとしと降っていた。
上がるのを待って、昼めし前の散歩を
文京区・小石川の桜の名所、播磨坂でスタート。
春日通りを真っ直ぐ、言問通りにぶつかるとき、
いきなり大粒が降り出した。

こりゃたまらん、角のローソンに逃げ込む。
ビニール傘を買い、雨の中を散歩の続き。
丸ノ内線・新大塚駅前から下る、
細い路地のほとりにティールームがポツンと1軒。

ん? ミートソース・シナモントースト付き?
妙な取り合わせだな、こんなの美味いのかい?
ダメ元OK、「モーニング・サン」の取っ手を引いた。
初老のご夫婦が切り盛りする店内は小ぢんまり。
ドリンクはアイスコーヒーを択ぶ。

着卓した皿にはスパゲッティの上に
焼かれた6枚切り食パンが1枚乗っていた。
これはトースト付きじゃなくてトースト乗せだネ。
レタスのサラダは醤油ベースの和風ドレ。

ソースが緩く、パンチに欠けるため、
パルメザンを多めに振り、
途中からタバスコも参戦させる。
シナモンとの相性は案じたほど悪くはない。

外の雨はすっかり上がってカンカン照り。
JR大塚駅まで歩き、錦糸町行きのバスに乗る。
さっき歩いた通りを逆に戻ってゆく。
御徒町で降り、「吉池」の店外に特設された、
臨時ビア・スタンドに直行した。

例によってバイトの娘さんに
「泡のぶん目減りして構わないから泡ナシでー」
「ハイ、泡ナシですネ」
彼女が注いでくれたプラコップは百点満点。
目減りなどせず、泡1ミリのいっぱい、イッパイ。
うん、キミは好いコだ、いいお嫁サンになれるヨ。

そうして晩酌用つまみの調達。
おお、今日は珍しいサカナが揃ってる。
カンダイ(コブダイ)とコシナガマグロで
迷いに迷う白身と赤身の競い合い。
頭ん中は紅白歌合戦状態である。

勝利したカンダイは額に大きなコブのある、
異様な見てくれとは裏腹に繊細な美味しさ。
半分強残し、昆布〆を仕込んだ。
あと二晩は楽しめるでしょう。

「モーニング・サン」
 東京都文京区大塚5-10-9
 03-3941-3436

「吉池」
 東京都台東区上野3-27-12
 03-3831-0141