2023年7月12日水曜日

第3316話 白鶴 ”のみとも”に挑む (その2)

足立区・北千住の飲み屋ストリート。
「幸楽」の小上りに白鶴と二人。
いや、一羽と一人。
のみともを志願しただけあって
そこそこにグラスをかさねている。

それはそうと、つまみである。
水なすは相変わらずの旨さだが
手に負えないのがどくとるマンボウだ。

マンボウの酢味噌には2種類あって
刺身風の身肉、そしてゆがいた胃袋。
此度は後者であった。

コイツが硬いのなんのって
こんなんかじったら歯を傷めるヨ。
2切れでギヴ、鶴なんざ手を出さなかった。
もっとも鶴に手はないかー。

ボール(焼酎ハイボール)に移行し、
鶴にも1杯飲ませてみた。
すると彼女、季節外れのカキフライを追注。
どうせ、冷凍だろうけど、まっ、いいか。

酔い覚ましに歩く。
千住大橋で隅田の大川を渡る。
芭蕉の「おくの細道」の出発点が此処。
南千住を過ぎて「あしたのジョー」の泪橋。
岡林信康の山谷を抜け、
数日前に来たばかりのソープ街。

相方は目を丸くしているが
真っ昼間の吉原なんかどうってことない。
紐のないふんどし、
柄の折れた肥びしゃくみたいなもんだ。

入谷を経てシモネタつながりの鶯谷。
こちらは昼も夜も大差ない。
初めてのラブホ街は
初めてのお使いより緊張するらしい。

「ちょっと休憩していくかい?」
「何言ってるのバカッ!」
にらんだ瞳が怪しく光るのを見逃すJ.C.ではない。
こりゃ時間の問題だな。
ん? 何がだ! ってか?
いえ、こちらのハナシです。

「どこか行きたいところは?」
「カラオケに行きたい」
「ハア~ッ!?」
2カ月ほど前に開拓した、
東日暮里の昼カラ・スナックに向かいましたとサ。

「幸楽」
 東京都足立区千住2-62
 03-3882-6456