2023年7月27日木曜日

第3327話 蘇えっていた「吉宗」(その2)

懐かしの「吉宗」に足を踏み入れた。
だが、ちっとも懐かしくない。
銀座通り時代とは趣きが異なるからだ。
おでん屋の居抜きというわけではないから
それなりの造作が施されてはいた。

初っ端からやらかしてしまう。
ドライの中瓶を発注したのに
届いたのはアサヒ塾撰。
お運びのオバちゃんに指摘すると
ウチにはこれしかないと言う、

仕方なく飲んだがやはり合わない。
苦みが強すぎるのだ。
キリンラガーとサッポロラガー(赤星)の
中間よりもキリン寄りである。

これから飲みに行く前の下地作りだから
重く食べるつもりはない。
名物の茶碗蒸し、蒸し寿司、皿うどんはすべてパス。
これらは女ともだちを誘って
またの機会にしよう。

もう一つの名物、鯨刺しに白羽の矢。
ミンククジラの赤身である。
これが飛び切りの上物。
分厚いのが6切れ、
赤黒くヌメヌメと輝いていた。

皿に添えられたおろし生姜&おろしニンニク。
卓上の練り辛子を駆使して味わう。
ニンニク→辛子→生姜の順で好かった。

どうにか中瓶をやっつけ、さて、何を飲もう。
店一番のオススメに吉宗レモンサワーがあった。
凍らせたレモン丸々1個使用とのこと。
ほおう、コイツはスゴいや、これにしよう。

期待したほどではないにせよ、
自賛するだけあってスッキリさわやか、
そこそこに楽しめた。

目指すバー「Cape jasmin」は19地開店。
時計の針が19時半を回り、腰を上げた。
支払いは3千円弱。
階段を上って再び夜の銀座に出る。

♪   黒い落葉が 夜の銀座を
  風に吹かれる 暗い街角 ♪

今度は水原弘の「黒い落葉」が口をついて出た。

「吉宗」
 東京都中央区銀座8-7先 銀座ナイン二号館B1
 03-6274-6002