2023年7月17日月曜日

第3319話 銀座で毎晩 飲んだ日々 (その1)

今から20年近く前。
2005年前後の3年ほどは
毎晩、銀座で飲んでいた。
そりゃ仕事もずいぶんこなしたけれどネ。

行きつけはいずれも西銀座の3軒。
オーセンティック・バー「Approach」、
文壇バー「魔里」、
ナイトクラブ「ルイ・ジュアン」である。、

高校の後輩・N々の居た「ルイジュ」には
そうそう行けなかったが
2軒のバーには毎晩どちらかに顔を出していた。

こんなこともあった。
ある宵、人形町の日本そば屋で軽く飲んだあと、
いつものように銀座へ。
都営浅草線は空いており、
ボックスシートに悠々。

銀座に着くと身体がヤケに痒い。
はは~ん、これはシートに
ノミだかダニだかシラミがいたんだな。
あちこち痒いということは
シャツの中にまだもぐり込んでるに違いない。

そう思い込んで「Approach」に駆け込む。
チーフのトミーの下にバーテンダレスの玉子、
名前は忘れたが可愛い娘がおり、
彼女にひとっ走りお願いして
キンチョールを買って来てもらう。

トイレで裸になりシューシュー。
ところがコレはまったくの無駄打ちだった。
三越前の小池医院の小池先生によれば、
食物アレルギーとのこと。

ハタと思い当たったのはそば屋のとりわさだ。
生の鶏肉は時としてわざわいをもたらすからネ。
アレルギーは後にも先にも人生、あの一回きり。
好い娘だったが今頃どうしているのかな?
とうにお嫁に行ったるう。

「魔里」ではいろんな出逢いがあった。
ある晩、フラリ立ち寄ると、
先客がカウンターの隅に独り。

「J.C.はフラメンコの長嶺ヤス子さん知ってる?」
ママに問われて
「ああ、知ってるヨ。
 NYで彼女の公演観たもの」と応じたら
突如、彼女の瞳は輝きを増すのだった。

=つづく=