2024年1月2日火曜日

第3440話 年の瀬の 築地と銀座を ハシゴする (その2)

完全なる難民となったが
あきれてばかりいても物事が前に進まない。
昼めしはともかく昼飲みを開始せねば、
一年間まじめに生きてきた甲斐がない。

ほとんど途方にくれながら
さまよい歩く築地の街。
場外のある5丁目から2丁目、1丁目を経て
晴海通りを渡り返し、4丁目にやって来た。
チラリ万歩計をのぞいたら
この築地エリアだけで8千歩に達している。

此処も人出はスゴい。
何たって新大橋通りの向こうは場外だもの。
これじゃ、ほとんど振り出しに戻ってるヨ。

「すしざんまい」を経営する「つきじ喜代村」。
その本社ビルの周りは「すしざんまい」だらけ。
全部でいったい何軒あるんじゃ?
そこで巡り合ったのが「中国台風」なる、
アチラ系中華料理屋。
藁にもすがる思いで入店した。

すると、周囲の喧騒をよそに
静けさがチャイコフスキーによる、
「白鳥の湖」の出だしみたいな様相。
それもそのハズ、先客ゼロと来たもんだ。
台湾だか本土だか判らんが
初老の中国人夫婦の切盛りである。
女将のほうは日本語がまったくダメである。

ビールはプレモル生でガックシ気を落とすものの、
サッポロ赤星の中瓶があり、命をつないだ。
あとに銀座「三州屋本店」が控えているため、
つまみは努めて軽いものをみつくろった。

通したのは春巻2本と焼売3個。
店主に時間が掛かると言われたが
それほど待たされなかった。
一人淋しく飲んでいると
中年カップルが前後して一組、また一組、
どうにか店らしくなってきた。

オバさんが二組にお通しを出している。
「こちらにはないの?」
訊ねても意味が通じず、彼女は立ち往生。
オジさん引き取って
「独りなのにお通し要るの? 単価上がるヨ。
 300円取られるヨ、 ワッハッハッ!」
「あっ、要らない、要らない」ー即、手を振る。

少々揚げ過ぎの春巻、つなぎ多過ぎの焼売。
まあこんなものかな?
支払いは1320円也。
銀座2丁目を目指してテクテク歩く。

この9月に53年の歴史に幕を閉じた、
「三州屋一丁目店」の跡地を拝み、
並木通りからちょいと奥まった本店に到着。
待ち人とてなく、速やかに引き戸を引いた。

=つづく=

「中国台風(チャイタイ)」
 東京都中央区築地4-4-4
 03-3543-8203