2024年1月22日月曜日

第3454話 江戸川駅をご存じですか? (その1) 

東京在住の読者のみなさんは江戸川区に
江戸川という駅があるのをご存じだろうか?
ほとんどの方はご存じあるまい。

京成本線・小岩駅の一つ先。
目の前に江戸川が流れていて
も一つ先は千葉県・市川市の国府台である。
日暮里から乗った電車を初めてこの駅で降りた。

実は以前からBMしていた日本そば店「大村庵」に
ようやく出掛ける気になったのだ。
遠征先の肩透かしはキツいから
あらかじめ電話を入れた。

「もしもし『大村庵』さんですか?」
「はい、はい、そうです」
「今日はお店開いてますか?」
「それがネ、去年の秋に止めちゃったんですヨ」
オバアちゃんが申し訳なさそうに言うのであった。

こちとら江戸川に行く気満々。
その思いを止めることができない。
いろいろ調べて「芙蓉(ふよう)」なる、
町中華の存在に突き当たった。

そうしてこうして初めての江戸川駅である。
プラットフォームに降り立つ。
東京23区内にこんな寂しい駅がほかにあろうか?
旅愁すら感じさせた。

しばしたたずみ、江戸川の流れを眺めていた。
川の向こうに市川市の国府台駅が見える。
乗降客数は1日5千人あまり。
都区内にある京成本線の駅では
新三河島に次いで下から二番目だ。

取り合えず昼めし。
改札への階段を降りてゆくと、
前方から歩いて来た女性が目の前で立ち止まった。

「あら? 何でまたこんなところにー」
見覚えのある顔ながら、とっさには思い出せない。
「どこでお会いしましたっけ?」
「ほら、あの『G』でー」
谷中のカラオケ・スタジオである。
「あっ、そうだ、歌の上手な方ですよネ?
 松田聖子なんか歌っちゃう」
「ええ、今日もワタシこれから・・・」
「ボクも行こうかな? それじゃ、あとで」
「ハイ、待ってます」
名前も知らない相手と約束しちゃったヨ。

=つづく=