2024年4月1日月曜日

第3504話 銀座のそば屋は そばよりつまみ

東京の時刻は午後四時。
八戸の「8 base」はまだ開かない。
この時間だと、う~ん・・・
そうだ「泰明庵」だ。
日本そば屋は中休みを取らない店が多く、
こんなときには打ってつけである。

みゆき通りの北西の端に出て、
泰明小学校前の小路に入る。
暖簾をくぐったら
脇目もふらずに2階へトントントン。
当店は1階がそば屋、2階は居酒屋。
別段、店が決めたわけではないが
客はそんな腹積もりで来店する。

ドライの中瓶を注ぎ合ってグラスを合わせた。
最初に通したのは
平目の刺身と真鱈白子の天ぷら。
平目は朝〆とみえてコリコリ感が残っており、
歯触りに快感をもたらす。
素材自体もなかなかの上物である。

一方の白子も好かった。
お運びのオネバさんに
「ゆがいてポン酢もできますけど・・・」
そう言われたが相方は天ぷらを主張した。

銀座という街は意外に日本そば屋が少ない。
そのせいか、どの店も繁盛しており、
「泰明庵」もご多分にもれず、
昼から晩まで賑わっている。

日本酒に切り替えようと
二人して壁の品書きを見上げた。
北海道・東北・北陸の銘酒が並ぶが
最も品揃え豊富なのは米どころ新潟である。

おっと、灘の生一本、白鷹酒造の手になる、
褒紋正宗があるじゃないか!
しばらく口にしていないが好きな酒である。
かつて本郷は東大前にあった、
東京最古のおでん屋「呑喜」の定番だった。

高校生のときに読んだ、
岩波新書の醸造学に関する1冊で
賞賛されていたのを記憶している。
歓んで発注したものの、残念ながら品切れ中。
気を取り直し、山形の出羽桜をぬる燗でお願い。

締めはせりそばと穴子天丼。
緑したたるせりは結構ながら
相変わらずそばがイマイチ。
天丼は穴子の脇にピーマン&かぼちゃ。
丼つゆに力が無くなった気がした。

やはり「泰明庵」はそばよりも
つまみで持っているのでした。

「泰明庵」
 東京都中央区銀座6-3-14
 03-3571-0840