2011年10月20日木曜日

第166話 接客業 いまむかし (その2)

いくらこちらが高校生でもタクシードライバーに
「眠れねェじゃねェか!」と一喝される筋合いはない。
いやはやトンデモない時代だったのである。

ほかにも客や来訪者に対して
冷淡な扱いに終始する連中がいた。
当時(1960~70年代)のワーストスリーは
タクシー運転手を筆頭に、続いて役所の職員、
そして国鉄&地下鉄の駅員であったろう。
私鉄でさえもけしてほめられた対応ではなかった。

1976年に東京都・板橋区から
千葉県・松戸市に転居した。
松戸市役所には全国初の「すぐやる課」があったりして
心温まる応対をしてもらった覚えがある。
いまだに松戸の街が好きなのも
そんなところに起因している。

駅員たちもヒドかった。
買った切符を紛失しようものなら犯罪者扱いで
「何時何分に家を出たの?」なんて
自宅に電話を掛けられたりする始末。
今ではまったく考えられない。

反対に礼節をきわめた接客業は何であったろうか?
これは半世紀近くを経た今も変わらない。
ベストスリーの第3位には銀行のテラ。
ATM周りのオジさん・オバさんも大変なもので
1日に何回「いらっしゃいませ~」を口にするのだろう。
丁寧さにかけては1、2を争うけれど、
テラはけっこう待たせるから、そこが減点材料だ。

第2位は百貨店の販売員。
ただし、地下の食料品売場ならともかく、
スーツやシャツ売場での「サイズはおいくつですか?」、
ネクタイ売場での「どんなお色をお探しですか?」―
あれはうっとうしい。
「しばらくほっといておくれ」と言いたくなる。
彼らにノルマがあるのかないのか知らないけれど、
あのわずらわしさだけは御免こうむりたい。

そして栄えある第1位はダントツでホテルマン。
ビジネスホテルや連れ込みホテル(死語か?)はおいといて
シティホテルほど客あしらいに秀でた職種はない。

たび重なる外資系の参入で
都心御三家の宿泊稼働率は悪化の一途。
宴会・料飲部門の売上もかんばしくないと聞く。
昨日・今日乗り込んできた新参者と違い、
昔からずっと快適なサービスに努めてきた日本のホテル。
なるべくならそこで飲食し、そこに宿泊しましょうよ。
別に外資が悪いわけではないけれど、
老舗の廃業なんて事態は見たくないものネ。