2014年5月8日木曜日

第833話 長崎からも 加賀からも (その4)

神楽坂の昼下がり。
2軒目の店を探しもとめて
あっちフラフラ、コッチふらふら。
とうとう上方鮓の「大〆」までやって来た。

来たのだけれど、ここにも席はなかった。
店内のウェイティング・スペースてしばらく待てば、
卓に着ける感じはあったが
あまり悠長なことはしていられない。

そこで飛び込んだのが
「大〆」の向かいのジェラテリアであった。
これは同伴の二人に上手くハメられた。
長崎のN崎サンも金沢のCえチャンも大の甘党だったのだ。
なんか二人に連れ込まれた様相である。

スイーツに興味のないJ.C.はどしたらよかんべサ。
ジェラートだけに、「じぇ、じぇ、じぇ!」てなもんだべサ。
まあ、こうなったら致し方ナシ、覚悟を決めた。
さっきはJ.C.独りが生ビールを楽しんだわけだし・・・。

ところが世の中、捨てたもんじゃありませんな。
恰好の獲物が待ち受けていてくれた。
それがコレ  
プティ・サラダを従えたパニーニである。
中の具材はアンチョヴィとマッシュルーム。
酒類もビールはないが、ワインだけはあった。
実は先刻、あたってみた「大〆」にも白ワインだけはあったのだ。

ジェラテリアには赤も用意されていた。
ハーフより小さいクォーターボトルではあるけどネ。
頼んでみると案の定、苦手なカベルネ・ソーヴィニョンだったものの、
ベター・ザン・ナッシングであろうヨ。

N藤サンはジェラート、Cえチャンはなんかバカでかいパフェを注文。
NサンはともかくCチャンはそのパフェに瞳輝かせ、もう夢中であった。
日本そば店「山せみ」で見せたさわやかな微笑と異なり。
眼は爛々と燃えていたのであった。

申し遅れたがジェラート屋の店名は「テオブロマ」。
ギリシャ語で”神の食べもの”だ。
何でもチョコレートの原料となるカカオの木の学名なのだそうだ。
なるほどネ。
ということはジェラテリアではなくショコラティエなのではなかろうか。
まっ、どうでもいいいけど、遠来の二人が歓んでくれたのだから
引率者としてはこれに勝るシアワセはない。

1時間ほど過ごして2ヶ月後の再会を約し、
それぞれがそれぞれの方角に向かってお別れ。
楽しい土曜の午後でした。

=おしまい=

「ジェラテリア・テオブロマ」
 東京都新宿区神楽坂6-8
 03-5206-5195