2014年8月5日火曜日

第896話 馬よアナタはウマかった! (その3)

さだお&和雄サンとは吉原大門の交差点で落ち合った。
いつものようにオトコは不動の三匹。
ジャイアンツ打線もかように固定して組めれば、
首位独走も見えてくるのだろうに―。

イケメン三人(?)の揃い踏みであるからにして
それ相応の相手役が必要不可欠となる。
面子選びは会場の決定とともにJ.C.の重要なミッション、
選り抜きの元三人娘にお越し願った。

”元”を冠するとはいえ、
元祖三人娘のひばり・チエミ・いづみより、はるかに若く、
二代目のミエ・ゆかり・まりより、なおも若々しい。
メンバーはT子・R子・A子の御三家ならぬ”御三子”である。
いづれも容姿端麗、いや、容姿淡麗、
いやいや、容姿淡白といったところか・・・。
とまれ「男女六人夏物語」の始まり、はじまり。

膝を故障中の東海林御大のために
座敷は避けて椅子席に陣を取る。
各自、生ビールの中ジョッキを掲げてガチンと合わせた。

プファーッ! たまりませぬな。
チンチン電車の終着駅・三ノ輪から
炎天下をテクテク歩いて来たものだからなおさらだ。
しかも浅草界隈はアサヒビールのお膝元。
銘柄もスーパードライときたひにゃ、
そのノド越したるや、何モノにも替えがたい。
六人の先頭を切って一気に飲み干して
「お替わりっ!」

突き出しは鳥皮の南蛮漬け。
まあ、取るに足らない小鉢だけれど、
味自体はけっして悪くはない。

十二の瞳が品書きを記した壁の短冊を見つめている。
馬刺しと桜鍋は必食の二品目につき、それらは置いといて
一人一品、好みのつまみを注文することにする

ビールのアテには揚げ物がピッタリ。
すかさず川海老と白魚の唐揚げの声が挙がった。
名代の玉子焼きが連呼されたが
「あつみや」のそれは一人前を六人でシェアするにじゅうぶん。
J.C.の所望は「浅草を食べる」でも推した、いか塩辛だ。

ところが、なぜかこの夜の塩辛は
鮮度が劣ったのか、下処理を損なったのか、
判然としないものの、ちと生臭かった。
玉子焼きの美味さが際立っただけに
塩辛の不作が残念ではあった。

=つづく=