2014年8月19日火曜日

第906話 串から串へと (その4)

東京メトロ・丸の内線の終着駅・荻窪で
うな串店「川勢」のあと、焼きとん店「カッパ」に流れた。
ここのビールの銘柄もキリン、ただし今度は一番搾りだ。
クラシックラガーと比べて、こちらのほうが好みにより近い。

さまざまな部位の豚もつが串を打たれて並んでいる。
焼き手は珍しくも女性である。
若くはないが、そんなに年齢を重ねてもいない。
奥でつまみ類を担当しているのも女性で、こちらはオバちゃん。
とにかく男性スタッフが一人もいない。

最初の串は塩でホーデンである。
隣りの相方が
「なあ~に、ソレ?」―素朴な疑問を投げかけてくる。
「まあ、食ってみりゃ判るヨ」―底意地の悪いJ.C.、即答はしない。

数分後のご感想。
「なんかコリコリして、不思議な食感だネ」―
そうでしょうとも、おそらく口にするのは初めてであろうヨ。
ここで種明かし。
「コレはだな、牡豚の睾丸なのサ」
「ハイィ~ッ!」
卒倒はしなかったが、カッと見開いた目は真ん丸のマル。
ハハハ、こういうのは楽しいねェ。

続いて注文したリンゲルは売切れ。
というより、入荷がなかったのだろう。
ちなみにコイツは牝豚の膣(チツ)である。
日本人も実にいろんなモンを食うんだネ。
あんまり中国人を揶揄(やゆ)できないゾ、ジッサイ。
臭みを拭うために、よくよく水洗いするのだろう。
膣だけに洗浄は必要不可欠だ、なんてネ。
いけねッ、また下ネタに振っちゃったヨ。

オーソドックスなシロとレバーはタレで、
カシラは塩でいただく。
食感といえば、独特な個性を持つチレ(脾臓)と
マメ(腎臓)も在庫ナシであった。
とっても残念。

ここでふと記憶がよみがえった。
確か年度が変わる3月末。
「カッパ」の中野支店のあとで
やはりうな串の元祖ともいえる「川二郎」を訪れたのだった。
う~む、歴史は繰り返すんだなァ。

飲んで食べての会計は2200円。
ビッタシ「川勢」の半額だった。
安くて美味い店のハシゴ酒、
荻窪は実に佳い街でありました。

=おしまい=

「カッパ」
 東京都杉並区上荻1-4-3
 03-3392-5870