2015年11月20日金曜日

第1234話 昼はうな肝 夜は鳥肝 (その8)

神楽坂下「駒安」でキャベジンをつまみにビールを飲んでいる。
キャベジン(発売元:興和)となれば、かれこれ40年以上も前、
森繁久弥&悠木千帆(現・樹木希林)による、
TVコマーシャルがなつかしい。

正確な台詞(セリフ)はぼんやりとしか覚えちゃいないが
確か・・・

「レバニラとボタ餅食べたんだけど、
 キャベジン飲んだほうがいいだべか?」―(悠木)
「ん?いいだべヨ」―(森繁)

であったと思う。

ところが「駒安」のスペシャリテ、キャベジンは胃腸薬に非ず。
キャベツの浅漬けなのだ。
そこそこの量が合ってたったの250円。
ほとんどの客が注文するのではないだろうか。

ビールととともにキャベジンを頼み、
同時に焼き鳥を何本かお願いしておくのがマイ・スタイル。
こうして串が焼き上がるのを待つわけだ。
ビールの銘柄もアサヒ・スーパードライとサッポロ黒ラベル。
これまたジャスト・マイ・スタイルときたもんだ。

「駒安」の店主はどうやら新潟県・佐渡ヶ島の出身であるらしい。
2011年の甲子園、春の選抜に21世紀枠で出場した佐渡高校。
そのときの栄光を報じた新聞の切り抜きが
これ見よがしに壁に貼られている。

店の品書きも、いごねりやイカの丸干しなど佐渡色が強いし、
日本酒の品揃えもまたしかりなのだ。
本日の品書きボードからイカの丸干しを選んだ。

思えばこれも40年近く以前、夏の佐渡を訪れたことがある。

 ♪  誰にも言わずに 裏木戸をぬけて
   海辺の坂道 駆けてゆく
   紅い椿の 散る道で
   やさしく胸に 抱かれたころも
   今では帰らぬ 夢なのね
   ハアー 沖でゆれてるヨー
   アー あの漁火は
   好きなあなたが 好きなあなたが
   烏賊つる 小船ヨー     ♪
      (作詞:山上路夫)

小柳ルミ子の「漁火恋歌」は6枚目のシングルで1972年11月のリリース。
「わたしの城下町」でデビューし、
いきなり160万枚のヒットを飛ばしてから1年半後のことだった。

=つづく=