2020年11月23日月曜日

第2530話 天保八年創業のうなぎ店(その2)

「登亭」は半世紀も前に日本橋の創業店を訪れたほか、

その後の京橋本店、神田店を利用したが、ともに現存していない。

都内各所に散在していた店舗は、上野広小路、銀座、新宿と

東銀座の系列店「登三松」の4店を残すのみ。

“手頃な価格で庶民にうなぎを”

このモットーの実践がいかに困難か、うかがい知ることができる。

 

さて、御徒町駅に近い、上中(うえちゅん)通りの広小路店。

昼のピークは過ぎたのに、さいわい限定品のうな丼が残っていた。

うなぎが半身とはいえ、1728円+税というサービス価格である。

1尾を持て余すわが身に半尾の提供はむしろありがたい。

中瓶と一緒にお願いした。

 

そうしておいてメニューブックを手に取った。

合いの手の吟味である。

うなぎ屋のつまみは、肝焼き・うざく・う巻きが御三家。

ここに上新香を加えて四天王とする。

まっ、J.C.が勝手に決めてるだけだけど―。

 

ほほう、肝焼き以外に串モノが

ひれ巻き・つくね・ハラミと計4種もあった。

ちょいと迷ったものの、長考には入らず、珍しいひれ巻きを―。

 

ビールはすぐサーヴされ、10分後につまみとどんぶりが同着。

新香はきゅうり&白菜、吸い物が焼き麩&三つ葉。

おっと、いけない、プラス100円で肝吸いにするのを忘れてた。

まあ、いいか―。

 

ひれ巻きと新香でビールを飲む。

テーブル12席、カウンター4席の6割方が埋まっている。

矢継ぎ早やではなくとも客の出入りはコンスタントだ。

立地の良さもさることながら

庶民の味方というイメージが定着しているのだろう。

 

う~む、串も蒲焼きも水準に達してはいるが

惜しむらくは、タレが濃すぎ。

「ごはんにはタレを掛けないで―」

この一言も忘れてた。

 

ここで10年前の神田店を思い出す。

あのときも濃かったんだが卓上には醤油差しに並んで、

タレの壷まで用意されていた。

驚くなかれ、居合わせた隣りのオジさんなんか、

うなぎの上からさらにぶっ掛けてたもんなァ。

世の中、濃い味派が少なくないんだねェ。

 

最近は魚介の買い出しのため、

御徒町駅前のサカナのデパートに週2回は通っている。

昼過ぎから夕刻までの時間帯がほとんどだが

次回はフライング晩酌に利用しそうだ。

串数本に上新香でビールと日本酒を楽しもう。

タレ少なめでお願いしてネ。

 

「登亭 上野広小路店」

 東京都台東区上野4-3-10

 03-5807-3511