2022年7月1日金曜日

第3049話 目白台 ウズラやヒツジの 舞踊り(その1)

北九州のウルサ形がまた上京。
1年前に築地でうなぎを食べて以来だが
来るたんび注文をつけるので厄介至極なり。

でもって What do you want to have ?
すると Je veux de la cuisine française.
だとヨ、けっ!

まあ、たまのことだから合わせるがネ。
仏料理の晩餐はいつ以来だろう?
とっさには浮かばず、
調べたら一昨年の夏が最後だった。

BMしといた店に電話を入れたら
その夜は満席。
5日も逗留するってんで日にちをズラす。
そうして出かけた「ル・マルカッサン」。
店名は仔猪、いわゆるうりぼうだ。

護国寺門前で待ち合わせ。
習わぬ経を読みはせず、不忍通りを西へ歩いた。
目白台の坂を上り、18時開店の10分過ぎに到着。

ギュウギュウには詰めないけれど、
われわれで早くも満卓と来たもんだ。
予備知識はなくとも地域の人気店であることに
疑いの余地はない。

ドライの中瓶を注ぎ合い、グラスをカチン。
リエットを塗り込めた、
薄切りバゲットがアミューズ。
相方はフランスのシャルドネ。
当方はパスティスの水割りに切り替えた。

パスティスはアブサンの流れを汲む、
マルセイユ発祥のリキュール。
銘柄を訊くと今はリカールのみ。
水はカラフェで登場し、
お好きなように割ってくださいとのこと。
このとき気づいたがスタッフは男性独り。
シェフ兼パティシエ兼ギャルソン兼皿洗いだヨ。

客は10人、コレをワンオペでさばくんだ。
スゴいを超えて、ものスゲェな。
感心しながら氷入りリカールに真水を注ぐ。
直ちに黄濁していった

ギリシャのウゾ、トルコのラクは
無色透明につき、白濁。
薄い黄色のリカールやペルノーは黄濁し、
アブサンに至っては緑濁するのだ。

これはアルコール度数の高い酒に溶け込んだ、
アニス由来の精油成分が水でバランスを失い、
膜を作って光を乱反射させるため。

酒は酒として料理。
相方はホタテのテリーヌと仔羊のトマト煮込み。
当方はズワイガニのキッシュとウズラのファルシ。
それほど待たずにオードヴルが供された。
いっただきま~す!

=つづく=