2022年7月4日月曜日

第3050話 目白台 ウズラやヒツジの 舞踊り (その2)

日本女子大、通称ポン女がある文京区・目白台。
”仔猪亭”で夕食中だが
メニューにウズラや鹿や仔羊はあっても
うりぼうはいなかった。

ここでハタと思い当たる。
今、目の前にいる旧いのみとも、
ほとんどクサレ縁とは1年前のうなぎのあと、
半年前にも湯島の天ぷら屋で飲んでいる。
ホントによく東京に出てくるヤツだ。

前菜のキッシュからは
ズワイガニの風味が立ち上り、味も花マル。
一方、相方が択んだホタテのテリーヌは
硬いプリンのような食感がイマイチ。
まっ、みんながみんな上手くいくとは限らん。

互いにグラスを重ねつつ主菜へ。
ウズラのローストは
キノコ類のファルシ(詰め物)入り。
数年ぶりのウズラは大好物ながら
かなりのボリュームだ。

相方の仔羊もさほどトマトチックでなく、
上々の仕上がり。
赤ワインがほしくとも
どうせ1軒で終わらぬ今宵。
すんなりとデセールに移る。

以前はほとんど口にしなかったデセールを
近年は受け入れるようになった。
桃のタルトとカラメルのグラッセを分け合い、
エスプレッソを楽しむ。
久しぶりの深煎りカフェだ。

ディジェスティフ(食後酒)はアルマニャック。
フランス南西部、ガスコーニュ地方が産する、
ブランデーで原料は白ぶどう、これも久々。
何たって夜のフレンチはトンとご無沙汰だもの。

相方が近くの千登世橋を見たいと言い出した。
いいでしょう、ご案内しましょう。
西島三重子の「千登勢橋」の舞台である。
そういやあ、「仔猪」のそばには
東京カテドラル聖マリア大聖堂があるんだった。
ほうら、彼女の歌声が聴こえてきたヨ。

♪   胸の想い 言い出せなくて 
  遠くで カテドラルの鐘
  思わずこぼした 涙を拭いて 
  無理に笑った 風の中で  ♪
   (作詞:門谷憲二)

「千登勢橋」の一節に鳴り出すこの鐘は
あの鐘である。
さて、飲み直し。
目白の駅に向かい、千登世橋を渡って行きました。

「ル・マルカッサン」
 東京都文京区目白台2-13-5
 03-3946-7177