2022年9月16日金曜日

第3104話 都の東に西北があった (その1)

メトロ半蔵門線を水天宮前で降りた。
押上まで延伸される前、長いこと終点だった駅だ。
駅上の久留米水天宮の分社へは
多くの若い夫婦が安産祈願に訪れる。

安産を祈願する立場にないので宮を素通りした。
本日の狙いは蘭州(甘粛省の省都)風ヌードル。
目指したのは
「西北拉麺(シーベイラーメン)」である。
早稲田の杜は都の西北に位置するが
都の東にも西北があった。

中国西北地方は上記の甘粛省に
西省、青海省、寧夏回族自治区、
新疆ウイグル自治区を加えた西北五省区が構成する。
豚肉よりも羊肉が好まれる地域だ。

「西北拉麺」はカウンターのみの店で食券制。
メニューが少なければいいが
選択肢の広い券売機は大の苦手。
背後が気になって仕方がないのだ。
取り合えずビール(500円)のチケットを買い、
スタッフの指示に従い着席。
残念ながら小瓶が現れた。

そうしておいて頭の中を整理する。
ふむ、当店は汁ナシの拌麺(バンメン)と
汁アリの拉麺(ラーメン)の二本立てなんだ。

まぜそばや油そばはまず食べないが
この日はなぜか拌麺の気分。
っていうかァ、このほうがより西北的な気がした。
拌麺は3種あり、牛肉・海老・羊肉。
ここは迷わず羊肉だろう。

麺の形状が細麺・普通・太麺・平麺の四択。
ちょいと迷ったものの、初回は普通でいこう。
券売機に戻り、羊肉拌麺と
ついでにビールをもう1本、ポチッ。

周囲の様子は男女が半々。
拌麺・拉麺の比率も半々。
ランチタイムのピークを過ぎても
来客は引っ切りなし、人気の程が判る。

パクチーのアル・ナシを問われ、
もちろんアリでお願いする。
8分後、横長楕円形の皿に盛られて供された。

ボロネーゼを思わせる羊挽き肉に
刻んだザーサイ&アーリーレッド。
その上にはパクチーが散っていた。
あまりお目に掛からぬ景色が目の前にあった。

=つづく=