2022年10月7日金曜日

第3119話 さまよえる世田谷・渋谷 (その4)

突如、身に降りかかった職質のつづき。
割って入ってきたのはこれも警察官である。
ただし、ロートルとは言わないまでも年配者。
同じ年恰好のJ.C.をなだめすかすために
急遽、参入した模様である。

「マア、マア、まあ、まあ」なんて言いながら
気安く肩をポンポンたたきやがんの。
アンタに肩をたたかれる筋合いはないんだヨ。
口には出さず、穏便に収める大人の対応に徹した。

鶯谷南口はそばに男女共学の高等学校があるし、
東京藝大に続く道筋でもある。
いわば、女学生の多いエリアなのだ。
よって、若いおまわりは
何用あってオッサンがこんな場所に?
疑念が生じたのだろう。

まっ、大事に至らず、そのままスタスタ立ち去ったが
背後の会話が聞こえてきた。
「オマエ、もうちょっと相手見て声掛けろヨ」
「ハイ、そうでした、トンデモないのに掛けちゃって」
「そうだろ、ああいうタチの悪いのは
 けっこういるんだ、気をつけなきゃな」
聞こえたのは気のせいか? それとも空耳か?
いずれにしろ、こちとらいい迷惑だ。

われに返って女学館前。
長居は無用と、医療センターから再びバスに乗る。
行先は2路線、来た道を渋谷に戻るのはシャク。
恵比寿行きに乗り込んだ。

終点の西口ロータリー着。
そろそろノドを歓ばさなきゃ。
ロータリー前には
サッポロ直営の「銀座ライオン」があるハズ。
ところがいつの間にやら
「恵比壽ビヤホール」に大変身の巻。

サンプルケースに眼をこらすと
エビスのスタンダードとプレミアム、
エーデルピルスに白穂乃香、
果てはSORACHI 1984と苦手軍団オンパレード。
愛飲する黒ラベル、赤星が見えない。
いかりやの長さんじゃないけど、だめだこりゃ!

そこはJ.C.、恵比寿にも滑り止めを用意している。
ちょいと先のもつ焼き「たつや」にプチ移動。
混んではいたが、どうにかカウンターに滑り込んだ。
滑り止めに滑り込んだんだわけサ。

赤星をトクトクやり、温どうふをお願い。
海鮮天盛りのあと、さすがに焼きとんはムリ。
煮込み鍋で温められた豆腐がとても旨い。
白モツが2片ほど混じり込んで、これまた好し。
大瓶2本を軽く飲っつけ、本日も充実の一日でした。

帰宅後、ネットで調べたら
くだんの「恵比壽ビヤホール」。
黒ラベルの生もあるんでやんの。
ちゃんとケースに並べといてくれっての、ったく。

=おしまい=

「たつや駅前店」
 東京都渋谷区恵比寿南1-8-1
 03-3710-7375