2022年10月10日月曜日

第3120話 「すみません」と「ありがとう」(その1)

最近、目にしたのは
東京学芸大名誉教授の相川さんが提唱する、
「すみません」から「ありがとう」へ運動。
教授に共鳴した朝日新聞は
「人づきあいを少し楽にするためのソーシャルスキル」
と題してオンライン記者サロンを開催したりもした。

でも、J.C.はこの発想に強い違和感を覚えている。
これはムリなんじゃないかな?
いや、ほとんどミッション・インポッシブルだ。

なぜか?
「すみません」と「ありがとう」では
言葉としての重要度、利便性がまったく違うからだ。
判りやすい例を挙げてみたい。
唐突ながら英会話における、
最も重要な3ワーズは何だろう?

Thank you Sorry Please
以上でまず間違いないでしょう。
驚くことに「すみません」は
そのすべてをカバーすることのできる、
オールマイティーなジョーカーワードなのだ。
今流行りの言葉ならまさしく”神語"ですネ。

「すみません」はていねいな思いが伝わるが
「ありがとう」ではカジュアルに過ぎて
むしろぞんざいな印象を与えかねない。

大切な顧客を会食に招いたあと、別れる際に
「今日はありがとう」ー
これじゃ先方はムッとするだろうネ。
大事な接待が台無しだ。

「本日はどうもありがとうございました」ー
こうでなくちゃいけない。
”どうも”と”ございました”のアシストなしでは
どうにもし難いのが「ありがとう」なのだ。

NHKの音楽番組に「うたコン」がある。
司会の谷原章介は歌い終えたすべての歌手に
「XXさん、ありがとうございましたァ!」ー
一夜の放送で少なくとも10回は連呼するが
 ”ございました抜き” は一度としてない。

私事で恐縮ながら
不忍池のほとり、池之端に行きつけ店あり。
こよなく愛するそば屋さんだ。
此処ではJ.C.、「ありがとう」と
「すみません」をしっかり使い分けている。

相手を差別するわけじゃないが常にそうしている。
詳細は次話でー。

=つづく=