2024年2月14日水曜日

第3471話 映画帰りに飲む秋葉原

この日は映画を2本観たから
終映は19時を回っていた。
神保町から都営新宿線に乗り、
浜町か森下あたりで飲むつもりが
電車が混んでいたため、
隣りの小川町で急遽下車。

池波正太郎翁行きつけの日本そば屋、
「まつや」の前には短い列。
大したことないけど、やめとこう。
昌平橋で神田川を渡り、
来たくもない秋葉原に来ちまった。

都内では際立ってクソ面白くもない街に
唯一、真っ当な酒場「赤津加」がある。
此処で飲むのは3年ぶり。
カウンターの角に着いた。

黒ラベルの中瓶にお通しは
鳥ささみとブロッコリのマリネ。
洋風の味付けだ。
本日のオススメに
石かれい(1370円)の刺身があった。

好きなサカナだし、珍しくもあって即注。
「すみません、売り切れてしまって・・・」
「エエッ! それはないヨ、オニイさん。
 じゃ、しまあじ(1650円)にしようかー」
「ありがとうございます」
そこそこの値付けだけに上物であった。

菊正宗生貯蔵酒(300cc)に移行する。
「赤津加」に来て清酒を飲まない手はない。
久しぶりに当店の名物、
 鶏もつ煮込み(880円)が食べたくなった。

ん? んん? 
ルックスに見覚えがないゾ。
箸で突ついてみたら全てが鶏皮だった。
すかさず先刻のオニイさんに

「煮込みはいつからこうなったの?」
「ずっと前からこうですが・・・」
「何年ぶりかでいただくけど、
 以前はこうじゃなかったなァ」
「私、20年いますが変わってませんヨ」
「いや、前はいろんな部位のもつが入って
 あずき(脾臓)なんかも1粒。
 第一、これじゃ鶏もつ煮込みじゃなくて
 鶏皮煮込みじゃないの?」
「ハア、そうですネ」

あまりからんでも仕方ないけど
五千円札1枚の支払いも相まって
終ってるネ、この店はー。
不満降り積もる、春の宵でした。

「赤津加」
 東京都千代田区外神田1-10-2
 03-3251-2585