2025年8月20日水曜日

第3866話 市場を見限り サルデーニャ (その2)

築地のサルデーニャ料理店、
「サポセントゥ・ディ・アキ」で
フグとシラスのスパゲッティを
ビール片手に食べている。

シラスといえばNY赴任時代に
こんなことがあった。
パメラという国籍はアメリカだが
ロシア系ユダヤ人の友だちがおり、
ミッドタウンのトラットリアで
夕食を共にしていた。

彼女は仔牛のスカロピーニ。
当方はスパゲッティ・ボロネーゼ。
すると、つぶやかれたネ。
「スパゲッティって
 退屈な食べものよネ?」
「ハァ~? 退屈とな?」
「食べていて飽きてこない?」
「いや、全然、飽きないヨ」

まっ、これは好き好きだから
いいとしましょう。
その夜はシラスなんか
食べなかったが和食好きの彼女。
「日本人はシラス好きでしょ?」
「繊細な味と食感がいいネ」
「もっと大きくしてから
 食べたらどうなの? 
 資源の無駄じゃない?」

ヤケに突っかかってくるなと
思いつつも言い返してやった。
「ロシア人なんか小魚どころか
 孵化する前の卵食うじゃん」

キャヴィア・イクラどころか
日本人がたら子・数の子など、
大量の魚卵を食べる事実を
彼女は知らない。

言い負かされて悔しいのか
重い空気が流れ出し、
早々にお開きとなりました。

それはさておき、
小瓶をお替わりして
会計は2500円也。

会計時、マダムに訊ねると
サポセントゥは
サルデーニャの方言で「客室」。
旦那のシェフは若い頃、
あの島で修業したのだった。

「サポセントゥ・ディ・アキ」
 東京都中央区築地1-3-6
 03-3542-5880