2014年3月4日火曜日

第786話 やきとり弁当 はるばると (その2)

夜更けに・・・と言っても真夜中ではないが
目の前に北海道みやげのやきとり弁当が置かれている。
実のところ、あんまり嬉しくない。
正直言って、たら子や筋子のほうがありがたかった。

そう、そう、北海道といってもいささか広うござんした。
何でも酒友が行った先は函館とのこと。
どうして函館みやげがやきとり弁当になるのっ?

しかもフタを開けたら、焼き鳥じゃなくて焼きとんだぜ、これは!
豚のバラ肉がネギマ状態で3本、
その下には海苔が敷かれていわゆる海苔弁スタイルだ。
埼玉県・東松山市では豚のカシラをやきとりと称するし、
確か、同じ北海道の室蘭でも焼きとんをやきとりと呼ぶハズ。
函館と室蘭はそう遠くもないし、まっ、いいか。

とにかく明日に持ち越すのは気がすすまない。
こういうものはオーバーナイトさせると格段に味がオチる。
バッテラや鱒寿司など、酢めしモノはいいんだけどネ。
たまたま当夜はあまり食物を摂取していなかったし、
とりあえず串だけでもつまみにビールでも飲もうか。

てなこって、余計な晩酌と相成った。
いや、晩酌なんてもんじゃない、深夜だから深酌かァ。
酒友にゃ、そこんとこ斟酌(しんしゃく)してほしかったなァ。

あいにく弁当は冷え切っているので
1分ほどわが家の名コック、陳サンの、
もとい、チンさんのお世話になる。
チ~ン! ハハハ。

一串口元に運び、しばし咀嚼(そしゃく)した。
ややっ、何じゃこりゃ! かなりいい味出してんじゃん!
ビールをグビ~ッと飲って、試しにごはんも一口。
ややっ、メシも悪くないぜ。
生半可な駅弁のレベルを軽く超えちゃってるヨ。
駅弁はハズレが多いからねェ。

とにかく旨いんだ。
アッサリめのタレがなかなか上品なんだ。
あらためてやきとり弁当殿に最敬礼ッ!
でもって、あわててカメラに収めやした。
食べ掛けにつき、残りは2本
テヘッ、われながらこういうショットも珍しい。

あいや、ちょっと待て―。
弁当箱もしっかり写さにゃならんゾ。
割り箸を置いてキッチンに戻り、夜更けのゴミ袋漁りときたもんだ。
いや、”漁る”というのは言葉のハズミ。
発泡スチロールのフタは、袋の一番上に鎮座ましましておりました。

=つづく=