2014年3月21日金曜日

第799話 市場の中のかき小屋で

立ち飲み酒場と座り飲み居酒屋でくつろいだ翌日。
仙台の空模様は妙であった。
陽射しがあるのにささやかな雪が舞っている。
天気雨というのは何度も経験しているが天気雪は記憶にない。
いや、ニューヨークで一度あったかな?

迎えに来てくれた酒友のクルマで行ったのは仙台・杜の市場。
市の中心の東側に位置するのに
なぜか広瀬川のせせらぎを渡り、30分近く走ったろうか―。
「杜のかき小屋」は市場内にあった。

隣りは仙台名物・牛タンの店だが厨房が中でつながっており、
焼きがき専門店のこちらに牛タンメニューがあるかと思えば、
牛タン専門店でもかき料理を出す。
経験上、こういった二兎を追うタイプはハズレが多い。
もちろん案内してくれた相方にそんなことは言えない。
ましてや運転があるため、酒をガマンしてくれているのだ。
恐縮した当方も缶ビールを2缶にとどめた。

店の中央にガラス張りの大きなボックスがデンとある。
ボックスといっても天井までとどいていて
中には緑葉植物がいっぱいだ。
接客の女性がすすめてくれたのはその葉野菜を使ったサラダ。
見た目が食欲を刺激する
メニュー名は”水耕栽培の生野菜サラダ(380円)”。
ルッコラやバジルに混じり、
珍しいスイスチャードも盛込まれている。
これは別名・リーフビート、和名を不断草という。
生野菜たちはみなとても美味しかった。

そうこうしているいち、焼きがきが焼き上がる。
石巻は狐崎浜の産である。
身はプックリと小太りで
最初の3個はサービス価格で400円。
もちろん1人3個じゃ足りないから
もう3個づつ追加すると、今度は500円にアップだ。

この時期(3月初旬)、生がきはイケないそうで
それならかきフライである。
ここでJ.C.が過ちを犯した。
かきだけにしとけばよいものを
あまり好きでもない海老フライと盛合わせた、
ミックスフライを主張してしまったのだ。
定食仕立てで1200円
かきはまずまずながら海老がデカすぎ。
しかもコロモが厚すぎ。
かなり腹にこたえ、これでは晩めしが不味くなる。

やや季節はずれとはいえ、狐崎のかき自体は悪くなかった。
遅めに取った昼めしのあとは酒友のお宅へ乗り込んで宴会だ。
2缶のビールが呼び水となって、さらに飲みたいし、
せっかく杜の都まで遠征して来たカイもない。
第一、酒を酌み交わさずにどうして酒友と呼べようか!

「杜のかき小屋」
 宮城県仙台市若林区卸町5-2-6 仙台場外市場杜の市場
 022-231-8371