2014年3月11日火曜日

第791話 びっくり仰天 2本のバローロ

ニューヨークから里帰りして来た、
のみとも・K美子と浅草ではしご酒を楽しんだが
実は彼女、みやげを持ってきてくれていた。
毎回、何か携えて帰国してくれる。
貰い手のイタリアワイン好きを熟知しており、
バローロやバルバレスコであることが多い。
今回はバローロであった。

その包みを開けてびっくり仰天、有頂天。
何となれば、ついひと月前に飲んだのと
同じカッペラーノだったからだ。
正しくは

 カッペラーノ・バローロ 2007
 オッティン・フィオリン ピエ・ルペストリス・ネビオリ

ずいぶん長ったらしくもご立派な名前じゃないか。

ひと月前のは、みちのくののみとも・R子が持参してくれ、
ヴィンテージは2006年、東京で買い求めたのだという。
今回のはニューヨークのリカーショップで買ったそうだ。

稀少な造り手による高価なワイン。
二人にカッペラーノの話など一度もしたことがないのに
よくぞ選んでくれたものよのォ。
そしてよくもこんな偶然が起こるものよのォ。
まさしく奇遇中の奇遇と言わねばならない。
確率的にほぼ不可能な現象なのだ。

J.C.にとって二人はともに大切なのみとも。
あいや、単なる酒友にとどまらない。
もしもどちらか黄泉の客に招かれでもしたら
悲嘆の涙にくれること、確実であろうヨ。
ん? 鬼の目にも涙ってか? 
ほっとけや!
ハハ、もっとも先立つのは間違いなくこっちのほうだから
そんな愁嘆場はまずないがネ。

彼女たちと個別に飲むとき、
会話の中に双方の名前が出てくるので
それぞれに存在を認識してはいるけれど、
互いに会ったこともなければ、話すらしたこともない。
いわゆる赤の他人同士ということになる。
だのに選んだワインがまったく一緒。
しかも極上のバローロときたもんだ。

二人の選択眼には、
いや、もはや審美眼の域に達しているが
ほとほと感服してしまった。
そしてその厚情には心から感謝しなければならない。

ともかく百聞は一見に如かず、まずはご覧くだされ。
2007年 from ニューヨーク
2006年 from ミチノ~ク
実のところ、百見は一飲に如かずなんですが
画面から飲んでいただくわけには、まいりませんもの―。