2014年3月24日月曜日

第800話 鯊(はぜ)と穴子とジェラートと (その1)

まだ宮城県にいる。
前日は昼夜を分かたず酒友の世話になりっぱなし。
ディナーの骨付きポークチョップが旨かった。
添えられたラタトゥイユも上デキ。
スペインはリオハの赤ワインともバッチリだった。
ただひたすら感謝。

さて、この日はアナザーのみともと松島へ。

 松島や ああ松島や 松島や

の松島である。
松尾芭蕉の句と信じている方もおられようが
これは狂歌師・田原坊の

 松島や さて松島や 松島や

が出自で芭蕉の作ではない。

恥ずかしながらJ.C.、日本三景の松島を訪れるのは初めてだ。
なるほど、湾内に散在する大小の島々は粒不揃いの真珠の如し。
昨日は狐崎浜の真がきだったが今日は松島湾の穴子。
松島は東京湾、東瀬戸内海、対馬海峡と並ぶ穴子の名産地である。

敷居をまたいだ店の名は「大漁」。
何だか上野あたりにありそうな大型活魚居酒屋みたい。
確か、花街・向島にも同名店があった。
この河豚料理屋は客の面前で
まな板の上の活きた虎ふぐをさばくパフォーマンスがウリだった。

のみとものイチ推しは穴子天丼。
ところが隣客のテーブルに運ばれるところをたまたま垣間見た。
ゲッ、おっそろしいサイズだヨ。
20センチはあろうかと思われるアナゴが丸々2本、
どんぶりに堂々と平行棒状態。
これには怖気づいちゃいましたネ。

相方曰く、2年ほど前に東京からやって来た視察団を
当店に案内した際は10人が10人、
穴子天丼を注文して全員完食したんだと―。
中には年配者も女性もいたが、みんなペロリだったんだと―。

ハナから天丼でいくつもりの相方に抵抗を試みる。
夜には和食のフルコースが控えている身、
胃袋がフルアップではフルコースに臨むべくもない。
よって注文品に注文をつけたワケだ。

壁の品書きを仰ぎ見ながら吟味に入る。
磯崎産かきフライも見える
はて、どうしたものか。
結局、合意をみたのは、はぜアナゴ定食とかきフライ定食。
だが、この2品、
殊に鯊と穴子の連合艦隊は想像を上回る難敵であったのだ。

=つづく=