2014年3月3日月曜日

第785話 やきとり弁当 はるばると (その1)

 ♪ 月の沙漠を はるばると 
   旅の駱駝が 行きました
   金と銀との 鞍置いて 
   二つならんで 行きました ♪
      (作詞:加藤まさを)

好きなんだなァ、「月の沙漠」。
子どもの頃からずっと好きだ。

5歳まで長野市は善光寺の裏手に棲んでいた。
音楽というか、まあ、流行歌好きのマセたガキだった。
往時のマイ・ベスト5ナンバーは

 ・月の沙漠
 ・雪の降るまちを
 ・あゝそれなのに
 ・仲良し小道
 ・お富さん

順位なんかない。
と言うより、神童(?)といえども、そこは子ども、
ちゃんと順位をつけられなかったんだネ。

ただ、おかしなことに次点だけは決まっていて
それが恥ずかしながら軍歌の麦と兵隊

 ♪ 徐州 徐州と 人馬は進む ♪

ってネ。
何となれば、酔ったオヤジが歌う唯一の曲だったから―。
機嫌のいい親というものは子どもにとっても心なしかうれしく、
こっちまでウキウキしてきたものだ。

さて、名曲「月の沙漠」を引っ張り出したのにはワケがある。
北海道へ視察旅行に行ってた酒友からメールがとどき、
夜の浅い時間に羽田に着くから
大森か品川あたりで一杯つき合えとの要請あり。
(そんなとこまで行ってられるかヨ)
とも思ったけれど、
「みやげ買ったからさァ!」―
やれ、やれ、エサで釣ろうとしているぜ。

当夜の当方は京橋にて小宴の予定。
羽田だと、京浜急行と都営浅草線が直通で連絡している。
京橋のすぐそばの宝町まで呼び出すことにした。
近場の居酒屋に入ったものの、
互いに下地が出来ており、2時間足らずでお開きにする。

問題は北海道みやげであった。
あえて中身を訊ねなかったが
まず海産物に間違いはあるまい。
そう、タカをくくったJ.C.であった。

帰宅後、もらった包みを開いてみると、びっくりしたなもォ!
そう、サブタイトルにあるように
現れ出でたのは、やきとり弁当ときたもんだ。
わざわざこんなもん、はるばると飛行機で運び込むかい?
どうなってんだい、まったく! ええっ、お立会い!

=つづく=