2016年1月12日火曜日

第1271話 食べ比べて ゆず切り (その1)

前話では長きに渡り、三重県・的矢湾の牡蠣を愛でたが
食事会の翌日、ママ・H恵よりメールが来信。

岡ちゃん、昨夜はごちそうさまでした。
食評論家の岡ちゃんの薦めてくれたものは
やはりすべて美味しかったですね。
生牡蠣と牡蠣ピラフはまた絶対に食べに行こうと思いました。
あっ、ローストビーフは
Y子ちゃんが作ってくれた方が美味しかったかも?
ということで昨夜は不完全燃焼だったので
来年は週末に一度、またたっぷり遊んでください。
お願いします。
いやぁ、岡沢伸介節、笑えるわぁ。

またずいぶん入れ込んだものだネ。
不完全燃焼というのは当夜、互いに時間の束縛があったため。
”来年は週末”というのも土・日なら夜の銀座がお休みだからネ。
J.C.のことを”岡ちゃん”と呼ぶのは
ニューヨーク時代の友人たちにほぼ限定されますな。

さて、冬至から20日ほど経過した。
冬至だからってベツにかぼちゃも食わなきゃ、ゆず湯に入ることもない。
ただ、そんな風習を告げるTVニュースや新聞記事のおかげで
ゆず湯ではなく日本そばのゆず切りに気がいったことであった。

J.C.はゆず切りやしそ切りなど、変わりそばが大好き。
けし切り、菊切り、よもぎ切り、レモン切りなんかもいいねェ。
ただし、茶切りと胡麻切りだけはあまり好まない。

ふむ、ゆず切りか・・・
どこへ行ったらよかんべェ?
第一感は新橋の「本陣坊」だが
何となく新橋には行きたくない気分。

とにかくその日は昼前に自宅を出て早稲田行きのバスに乗った。
終点で降りると、目の前にリーガロイヤルホテルだ。
ホテルで一憩を休しながらぼんやりと身の振り方を思う。
早稲田にだってそば屋はあるが
足が向かないのはまだ空腹を感じないからだ。
そこで向かったのがホテルから至近のプラットホームだった。

 ♪   惚れて 惚れて
   惚れていながら行く俺に
   旅をせかせるベルの音
   つらいホームに来は来たが
   未練心につまずいて
   落とす涙の哀愁列車  ♪
     (作詞:横井弘)

三橋美智也の「哀愁列車」は1956年のリリース。
同年の「リンゴ村から」と並ぶ彼の二大ヒットである。
ここに「古城」が加わると、マイ・ベストスリーが完成する。

=つづく=