2016年1月27日水曜日

第1282話 漱石ゆかりの洋食屋 (その3)

旧神田連雀町の洋食店「松栄亭」。
壁のボードに本日のランチが何種類か貼り出されている。
ちゃあんと、かきフライもその一翼を担っていてうれしい。
こういったオススメ品は素直にオーダーするのが得策。
迅速に供されるから待たされることもないし、
割安感があってお食べ得なのだ。
 
その日のランチメニューはAからEまで計5種類。
つれづれなるままに紹介してみましょう。

 A ロースカツ&ハンバーグ
 B ロースカツ&あじフライ
 C ロールキャベツ
 D ビーフハンバーグ
 E かきフライ

もちろん品揃え豊富なアラカルトも注文可能。
でも、ここは前述した理由により、
本日のメニューボードから選ぶことにした。
採用したのは消去法で真っ先にビーフハンバーグが脱落。
殊更に牛肉を強調されてもねェ。
日本人が食べるハンバーグは合挽きでよかろうもん。

次いでロールキャベツが馬群に消えた、というより消した。
数日後に本郷・菊坂下のロシア料理店「海燕」で
ソイツを食べるつもりだったからだ。
ところがその時点ではそう思ったものの、未だ出向いていない。
モタモタしているうちに来月、
「海燕」で夕食会を催すことになり、
ロールキャベツの昼食は見送りの公算が強まった次第だ。

この会合はロシアのビールに始まり、
同じくロシアのウォッカ、ストリチナヤをガンガン飲る習わし。
料理は自ずからザクースカ(冷前菜)中心となる。
温かい料理はウォッカとの相性がよろしくない。
ロールキャベツの出る幕はまずないだろうなァ。
二月だから冷え込む夜であったならロールキャベツも悪くはないが
そのケースはむしろボルシチが人気を集めることになるだろう。

さてさて「松栄亭」の午餐であった。
残るランチメニューはA、B、Eである。
かきフライのEは当選確実。
そもそもコレを食べに来たんですからネ。
たとえ本日のボードにその名がなくとも必ず注文しとるもん。

さすれば、AかBかの二者択一である。
どちらも盛合せで片割れはロースカツだから
相棒が決め手となる。
かたやハンバーグ、こなたあじフライ。
これはもう明らかでしょう。
そう、読者諸兄のお察しのとおりであります。

=つづく=