2017年1月4日水曜日

第1529話 申年から酉年へ (その1)

昨年の大晦日は3つのデパートを回った挙句、
人混みにもまれてずいぶん疲れてしまった。
おまけに目当ての食材をいくつか買うこと能わず、
骨折り損のくたびれ儲けもいいところだった。

帰宅後、早めの晩酌をスタートさせる。
ビールのあとはニューヨークの友人が送ってくれた、
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ モノソーリ’11年だ。
香りを開かせるため、前日には抜栓しておいた。
さすがにトスカーナの誇る銘酒、
華やかなブーケが鼻腔に抜けてゆく。

合いの手には鶏レバーのポルチーニ・クリームソース。
水の都・ヴェネツィアの名物料理に
フェガト・アッラ・ヴェネツィアーナがある。
仔牛レバーのオリーヴ油炒めを
同じく炒めたオニオンと合わせただけの料理だが
シンプリー・デリシャス、大好きな一品だ。

ポルチーニのふるさとはアルプスの麓(ふもと)、
ピエモンテ州だからJ.C.が作ったのは
フェガト・アッラ・ピエモンテーゼと言えないこともない。
ポルチーニは同郷のバローロやバルバレスコと
抜群の相性を見せるけれど、そこはブルネッロ、
見事にシンクロナイズしてくれたのだった。

今回の大晦日はボクシングの世界戦が始まるまで
紅白をそれなりにしっかり観ようと思い、
19時過ぎにTVをスイッチ・オンしたものの、
開始30分ほどでつい、うたた寝の巻である。
われながら不甲斐ない。

すぐに目覚めて飲み直しながら
紅白そっちのけでボクシングに観入る。
困ったことに2つのチャンネルが
同時に世界戦を放映するんで
せわしないったらありゃしない。
とは言うものの、グッドマッチに恵まれて
このクラシックな格闘技を堪能することができた。
あとはNHKの「ゆく年くる年」をながめてベッドにもぐり込む。

明けて元旦。
おせちもどきの料理をつまみに至福の朝酒である。
銘柄は山形県・米沢市の知人がくれた、
地元の九郎左衛門ときたもんだ。
山田錦100%の大吟醸が不味いわけがない。
やれやれ、年末年始は貰い物で明け暮れした。
まっ、持つべきものは友、ありがたいことである。

=つづく=