2017年8月3日木曜日

第1670話 開業間もない焼きとん屋 (その1)

昨年の秋、北区・十条に焼きとんの佳店がオープン。
そう聞いて出掛けていった。
池袋に出てJR埼京線を利用するよりも
JR京浜東北線・東十条から歩いたほうが便利。
東十条の北口改札を抜けたのは15時過ぎだった。

駅舎を離れ、石段を上り掛けると、
いきなり空からパラパラっときた。
家を出たとき西空が暗かったから
こりゃ遅かれ早かれ来るなとは思っていたが
意外に早いご到来である。

突然に降られ、濡れた頭をよぎったのは
懐かしきC-C-Bの「Lucky Chance をもう一度」の二番。

  ♪ Mood 満点の空から雨  ♪

その文句だったがフルコーラスは控える。
またもや大阪の歯科医勤務、
らびちゃんに冷やかされるからネ。
もっとも1985年のリリースだから
春日八郎や三橋美智也よりはずっとあと。
大目に見てくれるかもしれないな。

コンビニでビニール傘でも買うか・・・。
いや、この程度なら近道すれば、
すぐに十条に着ける。
幸い、歩き始めたら雨はすぐに止んだ。

埼京線の踏切を渡り、商店街のつなぎ目に到達。
右へ行けば富士見商店街、左なら十条商店街で
こちらは駅前のロータリーに通じている。
目当てはロータリーの手前を右折して間もなくのハズ。

そうしてほとんど濡れずに到着した「碁ゑん」だった。
間口は狭いが鰻の寝床のように奥行きがある造作。
カウンターが1本延びており、テーブル席はない。
入口に近い所に焼き台があって
その前には早くも家族連れが5~6名陣取っている。
乳児を含めた3ジェネレーションだ。
昼酒は回りが速いとみえて皆さんすこぶるゴキゲン。
ちと喧しいくらいである。

奥の壁から4番目の椅子に座った。
1、2番目は若いアンちゃんが二人、
緑茶ハイらしき飲みものを飲んでいた。
チラリのぞくと焼きとんではなく、
刺身っぽいのをつまんでいる。
しっかり盗み見すると、馬刺しとレバ刺だ。
焼きとん屋ながら刺身の取り揃え豊富な「碁ゑん」である。

=つづく=