2018年2月7日水曜日

第1804話 カニでも食おうカニ? (その1)

渋谷区は富ヶ谷から神山町、俗称・奥シブを歩いていた。
理髪のため、ヘアサロンに向かったのだが
予約は中途半端な午後3時。
その前に遅いランチを食べとかなきゃ。
目指したのは道玄坂上のカレー店だ。

食べもの屋の前で立ち止まっては
品書きに目を通すものだから到着したのは2時2分。
悲しいかな、ドアには=CLOSED=の札が―。
ランチタイムは2時終了だった。

目当てにはぐれて歩く渋谷は人だらけ。
これといったすべり止めの候補はない。
やみくもにさまよっても仕方ないから
サロンのそばの適当な店で済ませることにした。

ゆき当たったのは「かにチャーハンの店」である。
はて? どこかで会ったなこの店は―。
記憶をたどると、それは5年前。
埼玉県・大宮駅のecute 内だった。
彼の地で1泊した翌朝、ブランチ代わりに
「かにチャーハンの店」でかにチャーハンを食べたっけ。

ほとんど覚えちゃいないが不味くはなかったと思う。
そうだなァ、カニでも食おうカニ。
迷わずにビルの3階へ―。
4階にはかつて一酌に及んだ佐賀料理店、
その名も「佐賀 雑穀」がある。

注文したのは主力メニューのかにかにチャーハン。
かに味噌汁が付いて820円也。
目の前の厨房で豪快に中華鍋を振る、
料理人のパフォーマンスを見ながら出来上がりを待つ。

チャーハン自体に具は少なめ。
かにと玉子、それに珍しくもきゅうりが
飯粒の間に見え隠れしている。
目映えがするのはトッピングの蟹肉である。
おそらくベニズワイであろう、けっこうな量だ。
かにチャーハンにカニのトッピング、
よってかにかにチャーハンと称するわけだ。

ふんだんに蟹肉を使いながら手頃な価格に抑えられるのは
かに卸し店直営だからこそ。
でなきゃ、この値段はムリだろう。

チャーハンは薄味仕上げ。
飯は硬めのパラパラ系でまずまずの食味だ。
脇役の味噌汁はなかなかに美味しい。
ひっきりなしに客が訪れるのもうなづける。
意外にも女性の単身やカップルの姿が目立った。
使い勝手のよい店なのだろう。

=つづく=

「かにチャーハンの店 渋谷店」
 東京都渋谷区宇田川町31-4篠田ビル3F
 03-5784-24