2018年2月15日木曜日

第1810話 美女応援団 ロシアに現る! (その2)

満員御礼のロシア料理店「海燕」に4人。
ショットグラスに注がれたウォッカを
おのおの口元に運びながらオーダーを通してゆく。
それにしてもこれだけの客をベテラン・シェフと
バイトの女の子の2人でさばくのだから
並大抵の労苦ではなかろうに―。

セリオトカ&カルトーシカ(1200円)はわが好物で
ニシンの酢漬けとゆでたじゃが芋のコンビネーション。
マリノーバ・ヤケタ(1200円)がスモークサーモン。
クリスナヤ・イクラ(1500円)はそのままイクラ。
もちろん醤油漬けなどではなく、
塩漬けで日本のものと差異はない。
ベーレツ(700円)はにんじんを詰めたピーマンである。
以上4品に加えて必食のブリヌイ、
いわゆるそば粉のパンケーキと自家製ライ麦入り黒パンを。

すると接客係の女の子曰く、
「すみません、今日はブリヌイできないんです」―
おい、おい、またもやフラれかや。
読者の中には黒パンがありゃ、
パンケーキは要らないんじゃないの?
そう思われる方もおられよう。

でもネ、脇役のブリヌイはある意味、最重要の一品なんですわ。
コレがないと、サーモンやイクラの魅力が半減する。
できない理由は多くの客が同時に押し掛けたから
シェフの手が回らないことのようだ。
「レバンテ」で生かきに固執したごとくシェフに交渉をお願いすると、
1時間ほどして手が空いたらという合意をもらった。
よってイクラはブリヌイと一緒に運んでくれるよう、
メンバーにはサーモンを一切れづつ残すよう、司令した。

ザクースカをストーリ(ストリチナヤの俗称)で堪能する。
殊に1時間後、
スメタナ(サワークリーム)をたっぷり塗ったブリヌイで
イクラとサーモン(親子だネ)をくるりと巻いたヤツなんか
日本の愚かなる悪習の産物、
恵方巻なんぞと比べようもないほどの美味であった。
もっとも恵方巻を食したことは一度もないけどネ。
あんなん食ってシアワセになれるほど人生は甘くないぜ。

スペインの赤ワイン、コロナス’12年を抜栓してもらう。
ここからは温かい料理だ。
牛ヒレ肉のビーフストロガノフ、
グルジア(ジョージア)風羊肉串焼きのシャシーリク、
それに応援団がどうしても食べたいと、
ダダをコネたボルシチ&ピロシキを追加する。
これだからお子ちゃまは困るヨ。

いや、食った、食った、飲んだ、飲んだ。
この顔ぶれの晩餐会は常に楽しい。
器量はともかくもそれぞれに良い性格の持ち主だからネ。
今回もみなさん集まってくれて、カムサハムニダ!
じゃなかった、スパシーバ!

「海燕」
 東京都文京区本郷4-28-9
 03-6272-3086