2018年2月21日水曜日

第1814話 人生ワーストのチキンライス (その1)

今は昔、1980年代半ば。
シンガポールに4年ほど赴任していた。
当時より交友していた、
なが~い友だちのK枝サンと久しぶりの夕食。
せっかくだからシンガポール料理を食べましょう。
そんな流れも自然の成り行きだった。

彼の地の国民食は海南鶏飯。
ハイナネーズ・チキンライスと呼ばれる。
タイ料理のカウマンガイとほぼ同じだ。
都内で供する店も次第に増えてきて
六本木、中目黒、神保町、西荻窪あたりの専門店を
何度か利用している。

落ち合ったのは豊島区・大塚の「ラムリ」。
お互いに初訪問である。
待合せまで余裕があり、例によって行き掛けの駄賃、
小一時間、近くの居酒屋で独り飲みに及んだ。

「伊勢元」は都内あちこちに散在している。
「三州屋」と同様にチェーン展開ではなく、
暖簾分けだろうから、独立採算制をとっているハズ。
刺身・焼きもの・揚げものなど、
和食全般に渡る豊富なつまみ類が自慢だ。

ここ大塚店は珍しくも焼きとんが主力メニューだった。
生ビールの中ジョッキを所望すると
突き出しは高野豆腐・いんげん・にんじんの煮もの。
高野豆腐は好きな食材ながら、
野菜は火の通しすぎでクッタリ、あまり箸がすすまない。

シロとレバをタレで1本づつ。
シロは下ごしらえ浅く、なかなか噛み切れない。
ビールで流し込もうとするも、いつまでも口中に残る。
こりゃ、歯の悪い老人にはムリがあるな。
反してミディアム・レアのレバはなかなかだが
なぜかレバには白胡麻が散っている。
余計だ、いや、ジャマだ。

酎ハイに切り替えた。
氷抜きの琥珀色は天羽の梅入りだろうか?
半月切りのスライスレモンが浮かんでいる。
生モノは、かつおたたき、〆さば、たこ酢の3品。
みな390円だったかな?
次があるので早めにお願いした勘定は1260円。
まずまずの駄賃と言えよう。

北大塚から南大塚に移動。
「ラムリ」は天祖神社の並びにある。
K枝サンはすでに到着しており、
手ぐすねを引いていたが下戸につき、
乾杯のビールが精一杯。
こちらも今宵はビールだけにしておこっと―。

=つづく=

「伊勢元」
 東京都豊島区北大塚1-33-20
 03-3918-4646