2018年2月23日金曜日

第1816話 府中なる神社の隣り (その1)

ある日の午後、京王線・府中駅に降り立った。
大化の改新(645年)後、
武蔵国の国府が置かれた府中である。
その頃、現在の東京都心は
ひなびた漁村・農村にすぎなかったであろう。

競馬に興味がないから
日本最大の府中競馬場(東京競馬場)に行ったことはない。
世間に悪さをしないから
日本最大の府中刑務所に入ったこともない。

人がぎょうざん集まる祭りもあまり好きじゃないから
大國魂神社のくらやみ祭も見たことがない。
そんな男が府中に現れた。
いえ、べつにフチュウ意からではなく、
一杯飲るために・・・でありました。

訪れたのは「直会スタンド 宮」。
直会は”なおらい”と読む。
では直会とは何ぞや?
ブリタニカ国際百科事典によれば、

神祭りの終了後,司祭者と氏子のおもだった者が
神供を降ろして共同飲食することをいう。
相嘗 (あいなむ) るの意のナムリアイが
ナウリアイとなまり、さらにナオライに転じたという説もあり。

ということだった。

大そうな店名だがスタンドとあるようにここは立ち飲み酒場。
何を名乗ろうと店主の勝手だし、
大國魂神社のすぐ隣りに位置しているから
さもありなんと納得できるものがある。

ビールはサッポロラガー、赤星の中瓶。
つまみは穴子と狐の甘煮(280円)だ。
狐はご存じ油揚げ。
うるいの青い部分が少々に柚子皮が1片。
なかなかにシャレている。

庄内あさつきの天ぷら(200円)もオツなものである。
つまみ類がずいぶん安いと思われようが
小皿にホンのちょっぴりなのだ。
多種を少量づつ、つまみたいJ.C.には好都合ながら
ボリュームにこだわる向きは
皿を投げつけたくなるかもしれない。
そこはグッとコラえてつかあさい。
塩もつ煮ハーフ(200円)なんざ、二箸でおしまい。
ウチの猫なら5秒で完食だろう。

壁に面白い貼り紙を見つけた。

=つづく=