2021年1月14日木曜日

第2568話 飯田橋では かき豆腐

風があまりにヒドいので豊洲駅に戻った。

地下鉄でどこかに移動するつもりだ。

東京メトロ9線、都営地下鉄4線の全13線。

このうち、もっとも利用する機会が多いのはメトロ千代田線。

逆に少ないのが同じくメトロの有楽町線と副都心線。

有楽町線で乗り換えなし、行き着けるところへ行こう。

 

あれこれ迷った末、下車したのは飯田橋。

改札を出て階段を上れば神楽坂下。

傍らの「不二家」では唯一、ペコちゃん焼きが買える。

上野・浅草ほどではないにせよ、

昼飲みがじゅうぶん可能な神楽坂。

昼といっても時刻は16時、気の早い店が暖簾を出す時間だ。

 

ターゲットは焼き鳥が自慢の「駒安」。

一昨年の4月、のみとも・B千チャンと酌交して以来になる。

当店の背肝とハツモトは大好き、ただし、開店が17時半と遅い。

このご時世だから早めに開けて早めに閉めることもあり得る。

 

坂の上下・左右をあちこちさまよい歩き、

かっきり1時間費やして「駒安」をのぞいたものの、

早開けの気配はまるでナシ。

あと30分も寒風の中で待つのはツラいから

前回もB千チャンと流れた「三州屋 飯田橋店」へ。

 

基本的に「三州屋」のビールはサッポロ(蒲田本店はキリン)、

清酒は白鶴だが此処にはスーパードライもある。

黒ラベルで満足ながら、せっかくなのでドライの大瓶を。

 

突き出しの厚揚げ煮は生姜が利いている。

壁の品書きを熟読し、かき豆腐(650円)を通した。

「三州屋」各店は、とり豆腐が名物、いや、名代といってよい。

でも、この時期はやっぱオイスターでしょ。

照明の明るい店内に口の達者な女将の声が響き渡る。

まあよく喋ること、しゃべること、まっ、いいけどサ。

 

デッカいドンブリ鉢のかき豆腐はスッゴいボリューム。

年を越え、プックリ太ったのが4粒。

木綿のハンカチー、じゃなかった、木綿の豆腐もいっぱい。

春菊と、出汁こぶまでそのまま残されていた。

ちり酢が要らないほどに、つゆの味が滲みている。

 

すかさず白鶴辛口の二合徳利を熱めでお願いした。

抜群の相性が生み出す美味さに、しばし陶然となる。

追いかけるように、八代亜紀の歌声が聴こえてきた。

 

♪  お酒は熱めの 燗がいい

肴は煮られた カキでいい

女は達者な 口がいい

灯りは明るく 照らしゃいい ♪

 

おあとがよろしいようで―。

 

「三州屋 飯田橋店」

 東京都新宿区下宮此町1-7

 03-3267-2465