2021年1月22日金曜日

第2574話 赤いラックに黒ラベル

外出しても夜は飲まないよう心がけているので

行く先の計画を練ることがほとんどなくなった。

この日もそんな感じで

メトロ千代田線・千駄木から代々木上原行きに乗る。

その前に駅のホームの備え付け、

Tokyo Subway Route Map をゲットした。

 

千代田線沿線は知り尽くしている。

Map を見ながら、しばらく訪れていない場所を探す。

最初の乗換駅、新御茶ノ水は丸の内線・淡路町、

都営新宿線・小川町とレンラクしている。

そうだ、曙橋にしよう、小川町の改札を入った。

 

長くもない商店街、あけぼの橋通りで昼飲みするつもり。

いつか来た「かつよし」で

ミックスフライをつまみにビールを飲もう。

ところが店は消えており、影も形もない。

通りを往復し、候補は2軒に絞られた。

どちらも日本そば屋の「長寿庵」と「吉野庵」だ。

 

決め手は店先に置かれたビールのラック。

サッポロの真っ赤なラックに黒ラベルの空瓶が

収納されていたのは「吉野庵」のほう。

 

ガラガラガラ。

「いらっしゃい、こちらへどうぞ」

「ビールの銘柄、サッポロですよネ?」

「ええ、黒っ!」

 

ビールが飲めりゃ、そばは何だっていいんだが

そういう投げやりな態度は

青少年に目撃されたとき、彼らによい影響は与えない。

 

真面目に吟味を重ねて残った候補は3つ。

にしんそば、黒そば、鴨南蛮はいずれも850円也。

壁の貼り紙に

黒ゴマ汁なし坦々蕎麦 辛口 よく混ぜてください

とあった、黒蕎麦にする。

胡麻はあまり好まないが

黒ラベルとの黒つながりで決めた。

 

大盛り用と思しきデカいどんぶりから

そばを手繰りながら思う。

ぜんぜん自分らしくないモン食ってるな・・・。

相席になったお父さんの鴨南蛮と

どんぶりのサイズがまったく違う。

こっちの容量は楽に倍はある。

 

そばの上にたっぷり乗った粗挽き肉は合挽きか?

黒胡麻がふんだんに使われ、鷹の爪はかなりの辛さだ。

脇にはきゅうりの細切りと刻みねぎ。

味変用か、生玉子の黄身と絞り口の細いマヨネーズ。

卵黄はよくともマヨは合わないネ。

 

ジャージャー麺かボロネーゼ、はたまたビビン麺?

漢・伊・韓がごちゃ混ぜながらベースは日本そば。

あえて名付ければ、チャイタリコリア蕎麦。

悪戦苦闘の末、4分の1ほど残しちまいました。

 

「吉野庵」

 東京都新宿区住吉町10-9

 03-3351-3556