ピッツァハウスのあとは
密閉を避けて青空の下を散歩することに―。
時節柄、相方には門限があり、
ゆっくりしていられないようだ。
王子の街中を石神井川が流れている。
城北に棲んだわれわれには馴染みの深い川である。
わが母校、上板橋一中はこの川のほとりにあった。
いや、今でもある。
石神井川が隅田川に注ぐ景色を眺めてみたく、
今般、王子を択んだのだった。
川の最下流はやたらめったら橋が多かった。
左岸から右岸、右岸から左岸を往ったり来たり、
何度も橋を渡った。
途中、差し掛かった西福寺なる寺の門前に1匹の子猫。
毛並みは黒地に黄色が散る、珍しい柄だ。
2~3歳だろうか? とにかく人懐っこい。
スリスリしてきて空腹の様子でもあった。
さっきの残りのストロンボーリ(以下ストロン)を
鼻先に近づけたが匂いを嗅いだだけでプイッ。
そうかい、そうかい、あばヨ、ニャンコ!
すると、数メートル先にファミリーマートあり。
即入店し、購入したのはマルハニチロ
あけぼのの鮭缶。
これを食わぬ猫なんかいやしない。
取って返して与えると、予想通りに猫まっしぐら。
”門前の子猫
予期せぬ鮭を食う” ってか?
この大盤振る舞いのおかげで、とんだ散在をしちまったヨ。
まっ、税込み324円じゃ、そうでもないか―。
石神井川の最下流に架かる新堀橋から合流点を臨む。
上流方向を振り向くと、川面に水鳥が3羽。
白い鼻筋はオオバン(大鷭)に相違ない。
よっしゃ!とばかりにストロンを
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
1羽は食いついたものの、ほかの動きはヤケに鈍い。
視力が悪いのか、人からの給餌に慣れていないのか、
その両方かも知れず、食いが悪かった。
挙句は何処かから見てたんだねェ。
プカプカ浮いているストロンを
1羽のカラスがダイビング・キャッチ。
と思いきや、空振りだった。
ことわざ”カラスの行水”があるように
カラスは水が苦手だからネ。
見れば、これもまだ子ガラス。
しかも都会には珍しいハシボソガラスだ。
果敢なダイビングを評価して
コイツには別途、ストロンを与えたのでした。
さぁ、先を急ごう。
=つづく=