2021年2月3日水曜日

第2582話 ニャンコ1匹 オオバンぶるまい (その1)

ピッツァハウスのあとは

密閉を避けて青空の下を散歩することに―。

時節柄、相方には門限があり、

ゆっくりしていられないようだ。

 

王子の街中を石神井川が流れている。

城北に棲んだわれわれには馴染みの深い川である。

わが母校、上板橋一中はこの川のほとりにあった。

いや、今でもある。

石神井川が隅田川に注ぐ景色を眺めてみたく、

今般、王子を択んだのだった。

 

川の最下流はやたらめったら橋が多かった。

左岸から右岸、右岸から左岸を往ったり来たり、

何度も橋を渡った。

 

途中、差し掛かった西福寺なる寺の門前に1匹の子猫。

毛並みは黒地に黄色が散る、珍しい柄だ。

2~3歳だろうか? とにかく人懐っこい。

スリスリしてきて空腹の様子でもあった。

さっきの残りのストロンボーリ(以下ストロン)を

鼻先に近づけたが匂いを嗅いだだけでプイッ。

そうかい、そうかい、あばヨ、ニャンコ!

 

すると、数メートル先にファミリーマートあり。

即入店し、購入したのはマルハニチロ あけぼのの鮭缶。

これを食わぬ猫なんかいやしない。

取って返して与えると、予想通りに猫まっしぐら。

”門前の子猫 予期せぬ鮭を食う” ってか?

この大盤振る舞いのおかげで、とんだ散在をしちまったヨ。

まっ、税込み324円じゃ、そうでもないか―。

 

石神井川の最下流に架かる新堀橋から合流点を臨む。

上流方向を振り向くと、川面に水鳥が3羽。

白い鼻筋はオオバン(大鷭)に相違ない。

 

よっしゃ!とばかりにストロンを

ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。

1羽は食いついたものの、ほかの動きはヤケに鈍い。

視力が悪いのか、人からの給餌に慣れていないのか、

その両方かも知れず、食いが悪かった。

 

挙句は何処かから見てたんだねェ。

プカプカ浮いているストロンを

1羽のカラスがダイビング・キャッチ。

と思いきや、空振りだった。

 

ことわざ”カラスの行水”があるように

カラスは水が苦手だからネ。

見れば、これもまだ子ガラス。

しかも都会には珍しいハシボソガラスだ。

 

果敢なダイビングを評価して

コイツには別途、ストロンを与えたのでした。

さぁ、先を急ごう。

 

=つづく=