2021年2月25日木曜日

第2598話 「オー ピエ ド コション」の思い出

ヘアカットの翌日、そして翌々日。

尾山台「オー ボン ヴュー タン」で購入した、

キュイ・フランセーズ(フレンチ惣菜)を

二夜に渡り、楽しんだ。

 

野菜不足を補てんするため、

キャロット・ラペとサラダ・ニソワーズを手造りし、

ガルニテュールはアリコ・ヴェール(インゲン)のソテー。

バゲットと赤ワイン(ピノ・ノワール)も手抜かりなく。

 

ひな鶏のロティは火の通り良く繊細な焼き上がり。

電レンでチンする際、ロマラン(ローズマリー)を散らす。

ディジョン・マスタードが美味しさに拍車をかけた。

 

トゥールーズ風ソシスは店員さんに15分たっぷり

中火で焼くよう指示されたが

弱火でゆっくりとじっくりと焼き上げる。

焼けども焼けども驚くほど脂が溶け出してくるので

ゆうに45分はかかった。

 

手間ヒマ掛けたわりに仕上がりは良からず。

とにかくシツッコい。

コレには種入りマスタードの助けを借りる。

 

一番楽しみにしていたピエ ド コション。

豚足のカツレツにはエストラゴンのマスタードと

コルニッションを添える。

なかなか食べる機会のない料理だけに残る印象は深い。

 

この惑星で豚足を食らうのは

フランス、中国、朝鮮の人々くらいではなかろうか?

少なくとも英・米人は見向きもしないネ。

 

花の都・パリのレ・アール地区に

「オー ピエ ド コション(仔豚足亭)」という、

ビストロがあり、J.C.は二度訪れている。

 

初回はちょうど半世紀前、‘71年の春。

この頃はまだパリの台所、中央市場が此処にあり、

独特のアンビアンスが訪れる者を魅了しつくしていた。

例えれば、かつての築地、

それも真夜中の場内市場といった趣きだ。

旅行中に知り合った日本人男女4人で入店し、

豚足とオニオン・グラタンで安い赤を酌み交わした。

 

二度目は四半世紀前、‘96年の夏。

ストックホルムに友人を訪ねたあと、パリに回ったが

築地同様、すでに市場は移転しており、

デカ箱のポンピドー・センターが雰囲気をブチ壊していた。

このときは独りで仏産ブロン種の生がきと

やはり豚足で安い白を手酌で飲った。

 

さかのぼること、奇しくも50年と25年。

節目、節目であまりに区切りが良すぎるため、

思い出に浸りつつ、一筆したためたくなった次第です