2021年2月23日火曜日

第2596話 ステキな町です 尾山台

さっぱりとした頭、その中身で身の振り方を考える。

最寄り駅、不動前の改札を抜け、掲示板を見上げた。

上りでも下りでも先に来る電車に乗るつもりでいる。

先着した下り電車に乗り込み、

隣りの武蔵小山に着いた頃には行く先を決定。

 

先ほど経由したばかりの大岡山で

再び大井町線の溝の口行きに乗り換え、降りたのは尾山台。

おっとりとしたたたずまいのこの町が世田谷区内で一番好き。

地番でなく駅名で町を仕分けると

桜新町、松陰神社前を加え、ベスト3の完成。

 

ディープな三角地帯を擁する三軒茶屋も捨てがたいが

あそこはデカすぎる。

ベスト3がみな“町”なのに対し、

三茶は明らかに“街”だからネ。

 

ハッピーロードのなだらかな上りを南に向かった。

ほどなく環八にぶつかり、渡らず右折すると、

すぐ右手に「オー ボン ヴュー タン(古き良き時代亭)」。

尾山台で最も有名な店がここである。

 

入店制限のため、10分近く待たされた。

ガトー&ショコラに見向きもせず、奥の惣菜コーナーへ。

この町に来ておいて、この店に来ないことはない。

買い求めたのは以下の4点だ。

 

ピエ・ド・コション(子豚の足のカツレツ)

ソシス・トゥールーズ(トゥールーズ風ソーセージ)

プーレ・ロティ・オー・ゼピス(ひな鶏ももの香草ロースト)

コルニッション(小きゅうりのピクルス)

 

翌晩の一食には多すぎるので翌々晩と食べ分けよう。

瓶詰のコルニッションはらくにひと月持つだろう。

 

例によって腹は空かぬがノドは渇く。

来る途中、目星をつけた「Café Gigli(カフェ ジッリ)」へ。

さいわいペローニの樽生があった。

ロンバルディア州・ヴィジェーヴァノで生まれ、

今はローマに拠点を置くビールメーカー、

ペローニは5年前、アサヒグループの傘下に入った。

 

いつものようにノータイムで飲み干す。

いつもなら即もう1杯だが、この日の2球目は変化球を選択。

アペロル・スプリッツは

食前酒・アペロルと白ワインの炭酸割り。

アルコール度数がカンパリの半分すらないので

酒に弱い人向きだから呑ん兵衛には似合わない。

 

代わりにヴェネツィアはサンマルコ広場のカッフェで

小股の切れ上がったシニョリーナがグラスを傾けたなら

ビシッと決まり、一幅の名画にさえ成りうる。

 

立てばジリオラ 座ればソフィア 歩く姿はクラウディア

 

そんな感じのイタリア美人が最高だネ。

念のため、苗字を列挙しておくと

チンクェッティ、ローレン、カルディナーレになります。

 

心置きなく気持ちよく

フェイヴァリット・タウンを散策し、

今宵の止まり木を求め、自由が丘へと歩みを進めました。

 

「オー ボン ヴュー タン」

 東京都世田谷区等々力2-1-3

 03-3703-8428

 

「カッフェ ジッリ」

 東京都世田谷区等々力2-16-15

 03-5707-8685