さっぱりとした頭、その中身で身の振り方を考える。
最寄り駅、不動前の改札を抜け、掲示板を見上げた。
上りでも下りでも先に来る電車に乗るつもりでいる。
先着した下り電車に乗り込み、
隣りの武蔵小山に着いた頃には行く先を決定。
先ほど経由したばかりの大岡山で
再び大井町線の溝の口行きに乗り換え、降りたのは尾山台。
おっとりとしたたたずまいのこの町が世田谷区内で一番好き。
地番でなく駅名で町を仕分けると
桜新町、松陰神社前を加え、ベスト3の完成。
ディープな三角地帯を擁する三軒茶屋も捨てがたいが
あそこはデカすぎる。
ベスト3がみな“町”なのに対し、
三茶は明らかに“街”だからネ。
ハッピーロードのなだらかな上りを南に向かった。
ほどなく環八にぶつかり、渡らず右折すると、
すぐ右手に「オー
ボン ヴュー タン(古き良き時代亭)」。
尾山台で最も有名な店がここである。
入店制限のため、10分近く待たされた。
ガトー&ショコラに見向きもせず、奥の惣菜コーナーへ。
この町に来ておいて、この店に来ないことはない。
買い求めたのは以下の4点だ。
ピエ・ド・コション(子豚の足のカツレツ)
ソシス・トゥールーズ(トゥールーズ風ソーセージ)
プーレ・ロティ・オー・ゼピス(ひな鶏ももの香草ロースト)
コルニッション(小きゅうりのピクルス)
翌晩の一食には多すぎるので翌々晩と食べ分けよう。
瓶詰のコルニッションはらくにひと月持つだろう。
例によって腹は空かぬがノドは渇く。
来る途中、目星をつけた「Café
Gigli(カフェ ジッリ)」へ。
さいわいペローニの樽生があった。
ロンバルディア州・ヴィジェーヴァノで生まれ、
今はローマに拠点を置くビールメーカー、
ペローニは5年前、アサヒグループの傘下に入った。
いつものようにノータイムで飲み干す。
いつもなら即もう1杯だが、この日の2球目は変化球を選択。
アペロル・スプリッツは
食前酒・アペロルと白ワインの炭酸割り。
アルコール度数がカンパリの半分すらないので
酒に弱い人向きだから呑ん兵衛には似合わない。
代わりにヴェネツィアはサンマルコ広場のカッフェで
小股の切れ上がったシニョリーナがグラスを傾けたなら
ビシッと決まり、一幅の名画にさえ成りうる。
立てばジリオラ 座ればソフィア 歩く姿はクラウディア
そんな感じのイタリア美人が最高だネ。
念のため、苗字を列挙しておくと
チンクェッティ、ローレン、カルディナーレになります。
心置きなく気持ちよく
フェイヴァリット・タウンを散策し、
今宵の止まり木を求め、自由が丘へと歩みを進めました。
「オー ボン
ヴュー タン」
東京都世田谷区等々力2-1-3
03-3703-8428
「カッフェ
ジッリ」
東京都世田谷区等々力2-16-15
03-5707-8685