2021年2月12日金曜日

第2589話 そんな女が居ぬ 亀戸に (その1)

♪   顔や姿にゃ ほれないが

  男らしさにゃ しびれちゃう

  そんな女(こ)がいる 亀戸に

  恋を平井に まわり道

  よってらっしゃい

  よってらっしゃい お兄さん ♪

     (作詞:はぞのはな)

 

宇多田ヒカルのおっ母さん、

藤圭子の「はしご酒」は1975年、晩秋のリリース。

街には「シクラメンのかほり」と

「時の過ぎゆくままに」が流れていた。

 

てなこって墨田区と江東区の区境、

北十間川を福神橋で渡り、亀戸にやって来た。

もちろん、はしご酒のためでんがな。

いや、ベツに串カツは食わないけどネ。

 

中途半端な時間の店探しは厄介ながら亀戸には

中休みをとらない「亀戸ぎょうざ本店」がある。

ぎょうざのほかにフード皆無の当店、

問題はミニマム2皿(計10カン)のしばりだが

ポークカツを2割方残してきたのでどうにかイケそう。

ドライの大瓶とともに通した。

 

2皿目が来たところでデンキブランを1杯。

ふむ、合わないことはないやネ。

コの字型カウンターの向こう側に

近所の常連と思しき婆ちゃんが

店のオバちゃん相手にダラダラとしゃべりっ通し。

まっ、こういうのはあまり気にならないからいいけど―。

 

婆ちゃん、お冷やで2皿完食し、ゴー・ホーム。

隣りのアンちゃんもお冷やで何と6皿食った。

すげェなァ、感心しながらの勘定は1340円也。

 

いい女(こ)が居そうな酒場を物色するため、

駅南側の飲み屋横丁をのぞくも時間的にまだ早い。

しばらく時間をつぶして

「亀戸ぎょうざ」の路地に舞い戻った。

 

狙いを定めたのは「したぢ屋」。

一昨年秋、初訪の印象がよくて昨夏に再訪したものの、

コロナ禍による入店制限のためソデにされ、

ヨソに廻ったのが運のつき、

トンデモない鰻肝焼きを食う破目に陥った。

 

今回は宵の口、すんなりカウンターに陣を取る。

いい女(こ)かどうか判らぬが

素直そうな娘(こ)は一人居たネ。

 

=つづく=

 

「亀戸ぎょうざ 亀戸本店」

 東京都江東区亀戸5-3-4

 03-3681-8854