2023年1月5日木曜日

第3182話 牛と豚 呉越同舟カツハヤシ

残りわずかな日数を胸に現れた日本橋人形町。
この町の第一感は”にっぽんの洋食”。
旧花街に洋食が隆盛を誇ったのは
そこで働く女性たちが好んで食べたからである。

甘酒横丁の「来福亭」は前日で年内の営業を終了。
数軒先の「小春軒」もまたしかり。
洋食はあきらめるとするか・・・ん? もしや・・・
そのまま道筋を進んで日本橋小網町。
時刻は13時15分だ。
おお、開いてたヨ、「桃乳舎」がっ!

近頃、時代(とき)が止まったよな酒場や
町中華を訪ね歩いているが
この洋食屋もまさしく。
レトロ感では随一だろう。
空間に身を置くだけで幸福感に浸れる。

明治22年(1889)創業「桃乳舎」は13年ぶり。
ビールがないのは承知の上だ。
見覚えのないウエイトレスに
今まで注文したことがないカツハヤシをお願い。

エエッ? 後客が卓上のメニューにはない、
カキフライを発注したゾ。
いけねっ、カツやフライが並ぶ、
壁のホワイトボードを見落とした。
今日は珍しモノ狙いだったから、まっ、いいかー。

カツハヤシは超廉価(570円)なのに
揚げ立てのトンカツと
ルウには牛肉が点在していた。
牛と豚、一皿に呉越同舟ですな、これはー。
お味のほうは、まあそれなりだったけど。

往時、フロアにいたお婆ちゃんの姿が見えない。
孫娘と一緒だったが
厨房の女性があのときの孫だろうか?
時代が止まったよな洋食屋にも時は流れていた。

完全なるガス欠状態。
近所をあれこれ物色するより、
あの場所に直行したほうが早い。
人形町から都営浅草線に乗り、本所吾妻橋下車。
またまたやって来たのは「桃乳舎」より、
6年早く開業した「明治屋酒店」だ。

さっそくドライの大瓶をゴクゴクゴク。
そうしておいて前回同様、
アルザス リキュール・ド・サパン。
もみの木のリキュールだ。
今回はソーダ割りにしてみた。
ふむ、個性が薄まってしまい、ストレートに軍配。

年内の外飲みはせいぜいあと1軒か2軒。
明日はいずこの町に出没しようか?
おっと、裕次郎が歌い出した。

♪ ままよなげくな いとしいお前
  明日は 明日の 風が吹く ♪

「桃乳舎」
 東京都中央区日本橋小網町13-13
 03-3666-3645

「明治屋酒店」
 東京都墨田区吾妻橋3-7-12
 03-3622-1592