2023年1月17日火曜日

第3190話 はしご酒は本八幡 (その1)

てなこって、TUBEの「さよならイエスタデイ」を
口ずさみながらタバコのにおいを逃れ、本八幡へ。
年に数回出掛ける千葉県は松戸と本八幡が多い。

今宵の相方は何度か当コラムに登場している、
NY時代からの盟友・N美。
彼女と逢うのは2年ぶりだ。

JR本八幡駅の改札で落ち合った。
J.C.が開口一番。
「息子は中学生になったかい?」
N美応えて
「うん、この春で二年生」

時刻は16時、前日に電話予約を入れておいた、
「ヴェネツィア酒場」に向かった。
予約は17時ながら立ち寄ってワインの抜栓をお願い。
バルバレスコを指名すると、店主曰く、
「開くのに3日かかります」
「そりゃ判ってますけど3日は待てない。
 せめて1時間先にと思ってー」

しかし、この人は好い人だ。
ネッビーロの特性も良く分かってらっしゃる。
こんな指摘をしてくれた経営者は人生初。
都内はもとより、NYでもかなりの本数を
開けて来たが、どの店も開けちゃえ、
売っちゃえのオンパレードだったもんなァ。

結局、折り合ったのは
ランゲ・ネッビオーロ エリオ・フィリッピーノ’18年。
そうしておいて本八幡に来れば顔を出す「馬越」へ。
カウンターのカドカドに隣り合い、
サッポロ赤星で久々の乾杯。

それぞれ気に染まるものを1品づつ。
当方が小肌酢、相方はモズク天ぷら。
互いの近況を語り合い、
大瓶3本を空けたところで
壁の時計の針が17時を回った。

ビールはタップリ飲んだから
ランゲのグラスを合わせ、本日2度目の乾杯。
ヴェネツィアの酒場ならヴェネト州のワインを
飲むのが筋だがJ.C.は何と言ってもピエモンテ。
ピエ(足)モンテ(山)はその名の示す通り、
アルプスの麓(ふもと)の州である。
州都は17年前に荒川静香が金メダルを獲ったトリノ。
ネッビオーロの一大産地でこのセパージュが一番好き。
ピノ・ノワールは二番。

ワイン好きの相棒が目を細めている。
温度が低いため、ブランデーのように
手のひらで温めてやる。
おっと、裕次郎が歌い出したぜ。

♪   指で包んだ まるいグラスの底にも
  残り少ない 夢がゆれている ♪

=つづく=