2023年1月10日火曜日

第3185話 卯年の外飲み初め (その2)

喧噪の「吉池食堂」を逃れて「清龍上野店」。
本日のおすすめを眺めている。
おっと、注文、注文。

やって来たオニイさん曰く、
「今日は升酒をサービスしていますが・・・」
「あっ、そう、いただきましょう」
「冷たいのと温かいのはどちらを?」
「冷たいほうで」
さすが蔵元酒場、こんなサービスはうれしい。
埼玉県・蓮田市の清龍酒造は1858年創業。

赤星中瓶、ちょい刺し盛りをお願いした。
周りを見渡すとほとんどの客が
ちょい刺し盛りをつまんでいる。
内容は、真鯛・カンパチ・まぐろ赤身・〆さば
1切れづつだが、それぞれ2切れ分の厚みあり。

感心するのは刺身のつま。
大根の桂むきと大葉はもとより、
オゴノリ・マフノリがしゃきしゃき。
サービス品は手を抜きたくなるものだがエラい。

中瓶をお替わり。
お通しのクラゲ&春雨酢の物があるから
じゅうぶんかなと思いつつ、品書きを物色。
上野店限定のひとくち串揚げ盛合わせねェ。
串揚げより串カツを好むJ.C.はパスして
かきフライを発注。
3カン付けにタルタルソースが添えてあった。

博多のとんこつ焼きラーメン、
長崎の皿うどんがあれども
今宵は友人宅で小宴が控えているためスルー。
昔はこういう九州モノは無かったけどなァ。

昔といえば、年末の巣鴨に続いて高三の夏。
友人たちと豊島園プールの帰り、
池袋東口の「清龍本店」、その2階に上がった。
不自由な小遣いをやりくりし、
高校生の分際でささやかな酒宴を開いた。

食べ盛りに料理は最小限。
2階にはわれわれのほかに
10名ほどのオッサングループがいた。
彼らが退店したテーブルに
2皿の焼き鳥が残り、けっこうな本数がー。

下げられる前にわれわれは決断した。
あの皿を調達するため、ジャンケンポン。
最終敗者がひとっ走り走ることとなる。
それがちょくちょく当コラムに登場する、
あのN田クンと来たもんだ。

旅の恥はかき捨て? 
いやいや、空腹に恥なんか関係ねェってなもんや。
記憶から消したい浅ましき過去ながら
そのくせ思い出すたびに
懐かしさこみ上げる青春の一コマでもあるのです
接客のオバちゃんたちも
見て見ぬふりをしながら笑っておりました。

「清龍上野店」
 東京都台東区上野5-21-8
 03-3831-9373