板橋上宿の「長寿庵」。
ビールを注ぎ直してノドを潤す。
店頭の立て看板にあった、
ごまサバ漬け丼セット(1200円)が
気になって熟慮の末、発注した。
青背のサカナは酢〆にしないと
どうも苦手なんだがネ。
漬け丼はどんぶりでなく重箱で来た。
ワリと厚めに切られたサバは7切れ。
白胡麻が蒔かれ、青小ねぎが散る。
脇に干し桜海老と大根おろし。
あとはチューブ生姜に大葉1枚。
ごはんの上の刻み海苔はいいが
ヒタヒタの胡麻醤油だれは最悪。
いくらなんでも掛け過ぎでビショビショ。
牛丼ですら完全つゆ抜きを好む身には
ほとんど拷問に近い。
きゅうりぬか漬けはまずまずながら
2枚のたくあんは上等とは言い難い。
サバをどうにかやっつけたものの、
飯はほとんど残した。
セットはもり・かけ・冷やしたぬきから択べ、
なんとなく冷やしたぬきでお願い。
するとこれが二重丸に花丸を足したいほど。
揚げ玉・茗荷・わかめ・貝割れ・
海苔・かまぼこ・花がつお、
それぞれの役割りをはたしていた。
油の質が良いので揚げ玉が旨い。
茗荷の香りも好いアクセント。
素晴らしいのは真っ白な細打ちそば。
町場のそば屋ではなかなか逢えない逸品だ。
冷やしたぬきは天国、ごまサバ丼は地獄。
天と地をこれでもかと味わいつつ、
天が勝り、再訪に確定の赤ランプが点く。
満足しての支払いは1980円也。
さっきの隣りの女性が店内で何か買っている。
千円札1枚で入手したのは絵馬だった。
すると離れた席の女性も同様に購入。
皆さん一心不乱に書き込んでいる。
これは隣りの縁切榎(榎大六天神)に
奉納するためのもの。
帰りに天神さまに立ち寄ると
此処でも1枚千円で売られていた。
あとで知ったが絵馬を納めるのは
そのほとんどが女性だという。
世の中には男と切れたがってる女が
あふれ返っているんだヨ、きっと。
いや、驚きました。
くわばら、くわばら。
=つづく=
「長寿庵」
東京都板橋区本町18-9
03-3961-2421