2012年5月2日水曜日

第307話 鳥のつくねがこわいのサ

ただ今発売中(のハズ)の「東京ウォーカー」。
そこでのミッションは東京スカイツリーの開業を間近に控え、
それにちなんだ特別メニューの食べ比べであった。
編集のN渡サンが指定した3店の珍メニューを実食し、
1~3位まで順位をつけろとの指令である。

最初に出向いたのは向島の「サカイ鳥乃助」。
挑んだのはつくねタワー丼(980円)だ。
気軽に入店して出来上がりを待ったのだが
出来上がりを見て腰を抜かしそうになった。
松田優作じゃないけれど、「何じゃ、こりゃあ!」。

炒飯にも似た韓流混ぜごはんが
伊豆大島の三原山みたいにそびえている。
火口から溶岩のようにベロロンと垂れているのは
10枚ほどの鳥胸肉刺身で噴火口には生の卵黄が。
そして串刺しの鳥つくねが山全体を覆い隠す。
焼き鳥屋のつくねにしたらおよそ12本分だ。
めしの山だって楽勝で5人前はあろう。

TV東京の大食い選手権じゃあるまいし、
こんなん食えるヤツ、いるわけないやん。
結局、4分の1も食べられず、すごすごと退散した。
まったくの規格外で評価も何もあったものではない。

2軒目は浅草に本店を構える「モンブラン 吾妻橋店」。
ここのメニューはスカイツリーハンバーグ(1449円)である。
タワーを形成するのは5尾の海老フライで
そのふもとにハンバーグが横たわっている。
ソースをフランス(ドゥミグラ)、ロシア(ブラウン)、
メキシコ(ピリ辛トマト)、オランダ(ソフトチーズ)、
イタリア(トマト&チーズ)、日本(玉ねぎ醤油)の6種から
選ぶことができ、ロシアと迷った末にメキシコに決めた。

海老フライ製スカイツリーの脇には
東京タワーに見立てた野菜サラダが存在感を示している。
ハンバーグも海老フライもライスも水準をクリアしているし、
ボリュームも目茶苦茶ではないから
これが間違いなくナンバーワン。

最後はこれも吾妻橋の「海鮮家」による海鮮タワー丼(1580円)。
タワーは1本の巨大な茹で車海老である。
確かに車海老なのだがヤケに水っぽい。
ついでに主役級のまぐろ赤身も
旨みがどこぞに漏れ出して残念賞。
十数種の具材のなかでは旬の蛍いかが一番よかった。

スカツリハンバと海鮮タワーは何とか完食したものの、
つくねタワーだけは思い出すたびに悪夢がよみがえり、
以来、焼き鳥屋に行けないでいる。
人間国宝の噺家・五代目柳家小さんが
得意とした落語の演目は「まんじゅうこわい」だけれど
あたしゃ、つくねがこわいんざんす。

「サカイ鳥之助」
 東京都墨田区東向島2-11-21
 03-3612-4129

「モンブラン 吾妻橋店」
 東京都墨田区吾妻橋2-2-5
 03-5608-2155

「新鮮家」
 東京都墨田区吾妻橋1-7-7
 03-3622-4710