2014年9月16日火曜日

第926話 こち亀タウンに出没 (その12)

亀有のおでん屋「まづいや」のカウンターに独り。
壁の品書きに馬刺し定食を見とめた。
ふ~ん、こりゃまたスゴいもんがあるんだねェ。
新吉原は土手通りの桜肉専門店ならいざしらず、
ここはこち亀タウンでありんす。
しかもおでん&お好み焼きを商うお店でありんす。

こんな場末(葛飾区民のみなさん、失礼っ!)で馬刺し定食でっか?
想定の範囲を超えてやすぜ。
そんなことをつらつらと考えながら日本酒に切り替えようと思った。

おでんには何たって燗酒である。
J.C.の好みはぬる燗と熱燗の中間の上燗(じょうかん)。
もっともありきたりの居酒屋で上燗を所望してもまず通じない。

このあいだなんか、足立区・梅島の日本そば屋で
お運びのオネエさんにお願いしたら、
ほどなく厨房から店主が出て来て
「あのっ、ジョウカンって何のことでしょう?」―
すかさずJ.C.、あきれもせずに説明したけどネ。

でもって、おでんのセカンドラウンドとともに
日本酒を注文しようとした矢先、
団体客が押し寄せてきたのだった。
騒がしくなりそうなのと
料理の出が遅くなりそうなのとで、即刻お勘定。
ビール1本におでんが3品、
たったそれだけで退店の憂き目をみることになった。
短い滞在ではあったが
「まづいや」はけっしてまづくはなかった。

ガラス戸をうしろ手に締めて夜の町へ出る。
振り返れば、出てきたばかりの店が
月夜にポッカリと浮かんでいる。
なかなかの景色に誘われ、こち亀、
もとい、デジカメでスナップショットをパチリ。
雰囲気のあるお店でしょう?
二軒目はちゃんと目星をつけてある。
数話前に紹介した旬魚・旬菜の「遊膳」、そのすぐ隣りにあるのが
都内に50店舗ほどもある「ときわ食堂」の亀有店だ。

台東区や文京区の「ときわ」よりも明るい感じがする。
そで看板からしてド派手だ
入店するとヤケに騒々しい。
それもそうだろう、小上がりでは二家族が合体して
宴会を繰り広げているではないの。
それぞれのジャリンコが計6人ほどはいようか。
こりゃ、にぎやかにならざるを得まへんな。

=つづく=

「まづいや」
 東京都葛飾区亀有3-17-1
 03-3690-3759