2014年9月17日水曜日

第927話 こち亀タウンに出没 (その13)

「ときわ食堂」についてはつい先日、
当フログでも町屋店と動坂店を取り上げた。
屋号は同一でも中身はそれぞれに異なる個性の持ち主ばかり。
都内を代表する大衆食堂にして大衆酒場の二面性を持つ。

食事よりも晩酌(ときには昼酌も、エヘへ・・・)に主眼を置くJ.C.は
大衆酒場の匂いを放つ上記2店の利用が多い。
したがって入谷店や巣鴨店に出向くことは非常にまれだ。

ところがかつてはひんばんに朝めしを食った店舗があった。
雷門の脇にある浅草店である。
ロケーションがいいから、昼夜を問わず客が押し寄せている。
朝から飲んでいる輩(やから)ばかりだ。

まだ若い頃のマイ・デートコースは銀座か浅草がほとんど。
別れてそれぞれの家路をたどる予定の夜は銀座、
オーバーナイトを過ごして朝を迎える場合は浅草になる。
田原町や西浅草のラブホに泊まった翌朝の、
ブレックファーストを提供してくれたのが浅草店だった。
めしを食べる相方を眺めながら飲む朝のビールは
けだるい味がしたが、けして悪いものではなかった。

亀有の「ときわ食堂」に戻ろう。
家族連れのおかげで騒々しい店内を見回すと、
気にする者とてなく自分の世界に入っている。
これぞ「ときわ食堂」の典型的風景
酒を飲む客、めしを食う客、半々の様相を呈している。
TVはスポーツニュースで夏の甲子園を報じていた。

こちらも独り、壁の品書きを吟味し始める。
そそられた料理は3品。
 新さんま塩焼き(450円)
 なす肉生姜焼き(500円)
 かつ鍋(550円)
であった。

さんまは今シーズン初めてだ。
豚肉の生姜焼きはときどき食べるが
これに茄子が加わるのはうれしい。
茄子と生姜は相性がいいからねェ。
かつ鍋はかつ丼のアタマ、いわゆるかつ煮であろうヨ。

しばし沈思黙考の末、かつ鍋に白羽の矢を立てた。
550円というお手頃価格もよろしい。
ただし、この値段ではコロモばかりが厚くて
肉は薄いとんかつが登場しかねない。
一見、かなりのボリューム
ところが立派なとんかつに玉子のとじ加減もよく、
下に敷かれた玉ねぎもタップリであった。

甘辛醤油味に白飯が欲しくなったが
ここはガマンしてビールのお替わりクンと相成ったのでした。
長かった”こち亀タウン”シリーズもこれにて千秋楽でございます。

=おしまい=

「ときわ食堂 亀有店」
 東京都葛飾区亀有3-11-13
 03-3603-7041