2014年9月18日木曜日

第928話 燃えたドラゴン (その1)

NHKのBS放送を何気なしに観ていたら
画面に永六輔サンが現われて
台東区・谷中の町を歩いている。

JR日暮里駅から谷中銀座に向かう一本道。
途中、あちらこちらに種田山頭火の俳句をしたためた色紙を
何枚も行き当たりばったりに置きながら・・・。

ほどなく永サンは目的地の夕焼けだんだんに到着。
夕陽の絶景を愛でる番組なのだった。
この石段は都内有数の夕陽の名所。
カメラがとらえた夕焼けに思わずJ.C.、
「うわっ、キレイだなや!」―西空が黄金色に染まっている。

同時に頭の中でスパイダースの「夕陽が泣いている」と
裕次郎&ルリ子の「夕陽の丘」のイントロが入り混じって鳴りだした。
ともに歌詞の冒頭のみ紹介してみましょう。

 ♪   夕焼け  海の夕焼け  
   真っ赤な 別れの色だよ
   誰かに恋をして 激しい恋をして 
   夕陽が泣いている    ♪    
     (作詞:浜口庫之助)


 ♪   夕陽の丘の  ふもとゆく  
   バスの車掌の  襟ぼくろ  
   わかれた人に 生きうつし ♪  
     (作詞:萩原四朗)

その数日後、実際に夕焼けだんだんを訪れた。
ナマの夕陽を見るつもりでやって来たものの、
あいにくの曇り空に期待を裏切られた。
残念ではあったが、そのまま散歩を続ける。

谷中銀座からよみせ通りを抜けて、不忍通りを根津方面に向かう。
たまたま通りすがった青果店で足がとまった。
珍しいトロピカル・フルーツをに遭遇したのだ。
その名もドラゴンフルーツ。
見た感じはショッキングピンクの火の玉小僧といったふう。

最後に食したのは
1980年代半ばのシンガポールだから30年も以前になる。
懐かしさに背中をプッシュされ、ほとんど衝動買いと相成った。
ついでに隣りに陳列されていた紅オクラなる珍品も買い求める。

その夜、包丁で切り分けてみてビックラこいた。
通常のドラゴンフルーツは白い果肉にゴマ状の粒々のハズ。
ところがコレは真っ赤っかのカッ!
初めて見たぜ、こんなのっ!

=つづく=