2014年12月29日月曜日

第1000話 北の横丁をさすらう (その8)

読者のみなさん、お久しぶりです。
恥ずかしながらオカザワ上等兵、故国に帰ってまいりました。

PCの破綻をはじめ、
いろいろな椿事が重なっての休載でしたが
先週の金曜日にPCが手元に戻り、
順次、アーティクルの穴埋めをしました。
お時間に余裕のある方は、
12月16日(火)にさかのぼって
ご一読くださいますよう、お願い申し上げます。

”生きる歓び”はちょうど今回が記念すべき第1000話。
これもまた天の配剤でございましょう。
それでは決意もあらたに筆を進めてまいります。

仙台は一番町、壱弐参横丁の「金八」。
店主と常連客が釣り上げたサカナを供する居酒屋である。
生ビールとともに出された突き出しにややゲンナリ気味のJ.C.、
まず、切り昆布の小鉢に共存する豆もやしを得意としない。
ほうれん草にしてもおひたし・バター炒めは好むが
白和え・胡麻よごしはあまり好きではない。

店先のメニューボードと同じものが店内に掲げてあり、
それを吟味しながら切り昆布をつまんだ。
おやっ? あっさりとした味付けがけっこうではないか。
豆もやしと油揚げとのアンサンブルも舌に心地よい。
竹輪・白滝・にんじんが散見され、油っ気を感じる。
これは炒め煮、あるいは炒り煮と呼ぶのが正しいようだ。

隣りの白和えに箸先を移した。
ややっ! こちらも負けず劣らずであるゾ。
ほうれん草がヤング・スピナーチとでも
表現したくなるほどの若い香りを含有して佳味。
隠し味の塩っ気は明太子だ。

こうなりゃ、あとは自慢のサカナだから
客は大船に乗り込んだつもりで余裕を保てる。
「平目と鰈の昆布〆はどっちがオススメですか?」―女将に訊ねた。
「そうですねェ・・・」―女将は店主の顔をうかがい見る。
店主が応える前に
「鰈は真子かしら?」―重ねて訊ねると、
「そうです、真子鰈ですヨ」―店主のニッコリ笑顔が返ってきた。

薄くスライスされた真子の昆布〆が目の前に。
左上にエンガワもちょびっと
東京でも昨今は白身の昆布〆を置く鮨屋が減った。
酒の合いの手によし、酢飯との相性もよし、
再び脚光を浴びてしかるべき先人の知恵、復活を切に願う。

昆布〆の旨い店、さしずめ、東京の鮨屋だったら・・・
と、ここまで綴って以下は次話。
今後ともご愛読よろしくお願いいたします。

=つづく=