2014年12月11日木曜日

第988話 イスキアの光よ パリの影よ (その2)

前話で「お熱い夜をあなたに」の冒頭にふれたら
さっそくのご反響、お二方から便りをいただいた。

青森県・八戸市のK藤サンは
何で男が二人でトイレ?
いろいろ考えたけど、その理由が判らない。
おかげで一日仕事が手につかなかった。
どうしてくれるんだ! というもの。
ハハハ、何もそんなに思いつめなくとも―。

もう一方はお住まい不明のK滝サン。
おそらくジャック・レモンは自分で手の届かない、
背中の絆創膏か何かの交換を頼んだのでは?
ときたもんだ。
フフッ、考えましたネ。

読者のなかには同様の疑問を持たれ、
想像をたくましくされたた方が多々おられたことでしょう。
真相を明かしてもあらすじ暴露にはつながらないので
この際、発表しちゃいますか。

実は二人は服装をそっくり入れ替えて出てきたんですな。
元々レモンは派手なゴルフウェア、
老紳士はダークスーツ姿だったんです。

大企業の副社長であるレモンはゴルフのプレイ中に
社長である実父のイスキア島における自動車事故死を知らされ、
取るものも取りあえず、ローマ行きの飛行機に乗らずばならなかった。
赤ずくめの恰好で遺体安置所に向かうワケにもいかず、
苦肉の策のスーツ調達に及んだのでした。

脚本も手がけたワイルダー監督はこのアイデアがひらめいたとき、
小躍りして歓んだに相違ない。
洒脱だねェ、いや、実に洒脱、すばらしい才能の持ち主だ。

さて、本作品を楽しんだその二日後、先週金曜日のこと。
そう、夜には柔道グランドスラムで
高校二年生・阿部一二三クンの雄姿を拝んだ日であった。

ヒマを持て余したJ.C.は朝からすることなく、
またまたTVの前に陣取り之助。
ニュース、スポーツ番組以外はほとんど民放を観ない。
合わせたのはひかりTVの映画チャンネルである。

画面では「永遠のマリア・カラス」が始まったばかり。
この作品は封切り時(2002年)に日比谷の映画館で観た。
監督はかつてルキノ・ヴィスコンティの恋人(?)だった、
あのフランコ・ゼッフィレッリである。

彼は映画も撮れば、オペラの演出も手がける。
レナート・ホワイティング&オリヴィア・ハッセー(元布施明夫人)のコンビ、
「ロミオとジュリエット」(1968年)は一世を風靡した。
当初、ゼッフィレッリはロミオ役をポール・マッカートニーに
出演依頼したものの、丁重にに断られたそうだ。
フム、あの顔はロミオに合わないこともない。
もし実現していたら興行収入は莫大なものになったろうなァ。

=つづく=